2004 Fiscal Year Annual Research Report
プラスチックフィルム基板上への低抵抗・高密着性透明導電膜の高速成膜技術の開発
Project/Area Number |
16560281
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
星 陽一 東京工芸大学, 工学部, 教授 (20108228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 英佐 東京工芸大学, 工学部, 助教授 (60113007)
清水 英彦 新潟大学, 工学部, 助教授 (00313502)
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Keywords | 透明導電膜 / スパッタ法 / プラスチック基板 / 低温成膜 / 応力フリー / 低ダメージ / 高速成膜 / ITO |
Research Abstract |
プラスチック基板上に基板へのダメージを与えることなく高速度で低抵抗の透明電極薄膜を形成するためのスパッタ成膜技術を開発することを目的として研究を進め、以下の結果を得た。 1)スパッタ成膜中に基板に入射する熱量をマグネトロンスパッタ法および対向ターゲット式スパッタ法で調べた結果、(1)いずれの場合も基板に入射するプラズマ中の電子とターゲットから放出される2次電子によって主にもたらされていること、(2)対向ターゲット式スパッタ法の場合、基板がプラズマフリーに近い状態で置かれているために、マグネトロンスパッタ法に比べると入射熱量が半分以下で、低温成膜に適していること、(3)基板に入射する電子を抑制することで入射熱量は、マグネトロンスパッタでは1/10以下に、対向ターゲット式スパッタでも半分以下に減少できることが分かった。 2)室温で成膜する場合、成膜中の酸素分圧を増加させると、ITO薄膜の結晶化が促進され、非晶質から結晶化膜へと変化する。この結晶化に伴って表面平滑性は著しく損なわれるため、表面平滑性の良好な薄膜を得るためには結晶化を抑制することが必要であった。 3)応力フリーの薄膜を実現するためには、スパッタガス圧を8〜10mTorrでの成膜が望ましい。しかし、このように高いガス圧の条件では、結晶化が促進されて、表面平滑性が極めて劣る膜しか得られない。そこで微量のZnを添加することを試みた結果、スパッタガス圧8mTorr付近で応力フリーで非晶質で良好な表面平滑性を持つ膜が得られることが分かった。Znの微量添加効果については現在、さらに検討を進めている。 4)パルス電源を用いるパルススパッタ法、対向ターゲット式スパッタとマグネトロンスパッタ法を組み合わせたハイブリッドスパッタ法が、低電圧高速スパッタ法として有効であることを示した。
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