2005 Fiscal Year Annual Research Report
GaN系量子井戸構造の組成分布と電荷分布の関係の電子顕微鏡による可視化解析
Project/Area Number |
16560287
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
竹口 雅樹 独立行政法人物質・材料研究機構, 超高圧電子顕微鏡ステーション, 主任研究員 (30354327)
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Keywords | 電子線ホログラフィー / ZコントラストSTEM / 透過型電子顕微鏡 / 量子井戸構造 / 電荷密度分布 / 界面急峻性 |
Research Abstract |
InGaN/GaN量子井戸構造において、電子線ホログラフィーを用いてInGaN層内の圧電分極による内部電界を測定した。圧電分極はInGaN層のc軸方向の歪みによって生じる。Inの組成からVegards則を用いて格子定数を計算した後、基板GaNとInGaNのc面の界面格子マッチに伴って生じるc軸方向への歪を計算することによって圧電分極を理論的に計算した。同じ試料で数種類の厚さのものを用意してそれぞれに対する電子線ホログラフィー観察を行い、内部電界を測定した結果は、0.7±0.2MV/cmであり、これは理論計算からIn組成が4.1±1.3%に対応するものであることがわかった。一方、同じ試料のZコントラストSTEM観察し、GaNのGa原子カラム位置とInGaNのInGa原子カラム位置の像強度を比較してIn濃度を見積もった結果は、4.8±1.6%であり、電子線ホログラフィー観察からの値とほぼ良い一致を示した。組成マップを取るために長時間の測定を行うとInGaN内の歪緩和のためIn組成揺らぎが大きく生じることもわかった。AlGaN量子井戸構造に関しては、Wedge Polish法によって薄膜化し、最後にアルゴンイオン研磨を行うことによって50-100nm厚さの試料にすることができ、HRTEM観察、ZコントラストSTEM観察、電子線ホログラフィー観察を行うことが出来た。その結果、AlGaNの圧電分極および自発分極による内部電界はInGaNほど大きくなく、精度良い内部電界の測定を行うためには、試料表面のダメージ層の除去やより正確な厚さの測定などが必要であることがわかった。今後はこれらの問題を解決し、精度良い内部電界測定法を確立する予定である。なお、AlGaN量子井戸構造においては、Al組成揺らぎはInGaNと比べて顕著ではなかった。
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