Research Abstract |
本研究では,超広帯域(UWB)無線伝送を用いた短距離高速微弱無線ネットワーク実現のための信号設計法,受信技術および誤り制御技術を明らかにすることを目的とした。本年度はUWBの特徴を生かした変調法および多元接続時の性能評価法の開発,ならびにUWB向けRake受信技術の開発を行い,以下の成果が得られた。 [1]直接拡散(DS)変調を用いたUWB方式を拡張し,パルスの送信タイミングを変化させたハイブリッドDS-時間ホッピング(DS/TH)UWB変調,複数の周波数帯を用いるDS-マルチバンドUWB変調,およびこの2つの方法を組み合わせたDS/TH-マルチバンドUWB変調を新たに提唱した。 [2][1]で提唱した変調法の多元接続環境における性能評価法の検討を行った。DS-UWBなどのインパルス無線型UWBにおいて,任意のパルス伝送間隔における多元接続干渉を,簡易版改良型ガウス近似に基づいて正確かつ簡易に近似する手法を開発した。誤り率特性による比較評価を行い,本手法が従来から知られているガウス近似に基づく方法に比べ,シミュレーション結果とよく一致することを確認した。また従来法では表現できない変調パラメータの違いによる性能の差を正確に表現できることを明らかにした。 [3]DS-UWBにおけるマルチパス環境を考慮したRake(レイク)受信技術の開発を行った。ここでは,強度の高いパスを合成する選択Rake受信,最初に到来するパスを基準に複数のパスを合成する部分Rake受信を検討し,パス合成法の違い,パルス発生器などで生じるジッタ,パルス間干渉,パス振幅の量子化が受信性能に与える影響を明らかにした。また,UWBがパルスを間欠的に伝送することに着目し,パス到来時間の推定に基づく最適Rake受信の概念を提唱し,従来のRake受信よりも性能を改善できることを示した。
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