Research Abstract |
本研究では,可視光通信をシーケンシに基づく通信方式とみなし,その基礎的検討を行なうことで,可視光通信の基盤技術の確立を図ることを目的にしている.可視光通信とは,天井や壁に設置された照明を利用した通信である.ここで,照明にはLEDを用い,LEDを高速に点滅(光強度変調)することで情報伝送を行なう. 平成16年度は,シーケンシの可視光通信への応用の観点から基礎的検討を行った.ここで得られた成果としては,受信機にフォトダイオードを想定した場合,マルチパスの影響が大きいこと,しかし,シーケンシを利用することでマルチパスの影響を軽減できること,である.特に,シーケンシによる信号分離(シーケンシフィルタ)が有効である.これはスペクトル拡散技術を用いていることとも等価であり,可視光通信とスペクトル拡散技術の親和性が高いことがわかった. 本年度は,さらに,具体的な応用例として,高度交通システム(ITS)を考えた.現在,普及しつつあるLED信号機に着目し,そのLEDを用いて情報伝送を行なう方式である.当初想定していた室内での可視光通信と異なり,移動する車輌で信号受信を行なわなければならない.また,LED信号機を遠距離(100m)でも認識する必要がある.以上の観点から,受信機としてフォトダイオードで無く,カメラを用いることを考え,現在検討を進めている. 受信機にカメラを用いることで, 1)複数の光源(情報源)の特定が容易 2)個々のLEDをそれぞれ独立に認識できるため,光空間並列伝送が可能 などの利点がある.光空間並列伝送ができるということは,従来からある「信号点で伝送」するのでは無く,ある複数のLEDで描かれる「パターンを伝送」することになる.受信側では,伝送されてくる「パターン」を適切な画像処理を行なうことで認識することで,情報受信ができるようになる.
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