2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳波の動特性を利用した新しいコミュニケーションシステムに関する研究
Project/Area Number |
16560368
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西藤 聖二 山口大学, 工学部, 助教授 (60253168)
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Keywords | 脳波 / 位相動特性 / 振幅比 / アルファ波 / 振幅抑制 / コミュニケーションシステム / 思考状態の判別 / 複素復調法 |
Research Abstract |
本研究では、脳波の変化を読み取ることにより、身障者などに利用できる新しいコミュニケーションシステムを構築することを目的としている。研究は3年計画であり、平成16年度では、まず脳波(安静閉眼時のアルファ波)の基本動特性を把握することを課題として、研究を執り行った。以下のような2つのプロジェクトを平行に進めた。 1)アルファ波の光刺激応答特性の研究 2)暗算課題時における思考状態の判別方法の探索 上記1)はアルファ波の非線形性を明らかにし、モデル化を行うための知見を得ることを目的としている。2)は暗算課題を与えて、思考状態に陥ったときのアルファ波の時間変化を適切に解析して思考状態を判別する方法を調べたものであり、コミュニケーションシステムを構築するために、どのような実験方法が脳波の変化を効果的に誘発し、どのような解析方法がその変化を適切に検出できるのかを探った。 その結果、以下のような結果が得られた。 [1]アルファ波は波長の離れた2色の光刺激が交互に与えられたとき、頭部全体が同相同期する [2]アルファ波の振幅は、暗算時において抑制されることがしばしばあり、抑制されない場合でも安静時よりも変化が大きくなる場合が多い。 上記[1]はアルファ波の発現メカニズムに色を知覚・処理する視覚野などのニューロン活動が深く関わっていることを示しており、モデル化に有用な知見といえる。また、[2]では、暗算時のアルファ波の振幅(移動平均値)が安静時の平均振幅の半分以下になる被験者が4割おり、これらの被験者の場合には安静時の平均振幅に対する暗算時の振幅の比を用いて思考状態の判別が容易に可能であった。また、暗算時の振幅比があまり低下しない被験者であっても、ある程度の振幅比の低下が見られることと、振幅比の変化が安静時よりも大きくなっていることを利用して、思考状態の判別を行うことができた。結局、被験者の4分の3(16名中12名)で思考状態の判別に成功した。次年度以降の研究を進めるに当って、さらに判別方法の吟味が必要と考えられる。
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