2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳波の動特性を利用した新しいコミュニケーションシステムに関する研究
Project/Area Number |
16560368
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西藤 聖二 山口大学, 工学部, 助教授 (60253168)
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Keywords | 脳波 / α波 / コミュニケーションシステム / 振幅抑制 / 暗記 / 視覚誘発電位 / 位相 / 閃光刺激 |
Research Abstract |
本研究では、脳波の変化を読み取ることにより、身障者が利用できる新しいコミュニケーションシステムを構築することを目的としている。3年計画の第2年度になる本年度は、コミュニケーションシステムへの応用のために、以下の内容を執り行った。 1)α波の振幅変化を効率的に行う方法の探索 2)周期閃光刺激時のα波と視覚誘発電位の比較 1)は、α波を変えるための条件を明らかにしようとするものである。昨年度の成果である暗算(α波の振幅が優位に減少)の他に、暗記(単語や文字列)、感情を呼び起こす記憶の想起(愉快な思い出、不快な思い出)、罰則を設けて意識を集中させることなど、様々な実験を行った。一方、2)は、モデル化に資すべく、α波の基本特性の把握を試みたものである。周期閃光刺激の周波数を5〜20Hzの範囲で与えたときに、α波と視覚誘発電位の両者の特性を比較検討した。結果を以下に示す。 (1)暗記作業中にα波の平均振幅が安静時の平均振幅の7割以下に抑制される現象が、被験者の4割以上(16名中7名)で見られた。他の実験条件ではα波の有意な変化は観測されなかった。 (2)5〜15Hz程度の範囲の周期閃光刺激に対して、ほとんどの被験者で刺激周波数に同調する脳波成分(刺激同調成分)および高調波成分(刺激周波数の整数倍)が現れた(視覚誘発電位)。ただし、空間的な位相関係は、刺激同調成分、刺激倍調波成分およびα波共に同様であった。 (1)の暗記の結果は、暗算の結果と同等であり、暗記作業も有力な候補として挙げることができる。α波の制御に有効な方法を見出すことは、コミュニケーションシステムの開発のために重要であり、今後も検討を続ける。 一方、(2)はα波と視覚誘発電位に信号としての類似点が多いことを示している。θ波やδ波は異なる特性を持つことがわかっていることからα波と視覚系の密接な関連が疑われ、α波のモデル化にとっても有益な知見と考えられる。
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