2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳波の動特性を利用した新しいコミュニケーションシステムに関する研究
Project/Area Number |
16560368
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西藤 聖二 山口大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (60253168)
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Keywords | 脳波 / α波 / コミュニケーションシステム / 振幅抑制 / 暗記 / 記憶想起 / 位相 / 閃光刺激 |
Research Abstract |
本研究では、意思による脳波の変化を読み取ることにより、身障者が利用できる新しいコミュニケーションシステムを構築することを最終目的としている。3年計画の最終年度である本年度は、コミュニケーションシステムへの応用のために、以下の内容を執り行った。 1 α波の振幅変化が大きく現れるような実験方法の探索 2 意思によるα波の振幅変化と白発的な振幅変化の分離 3 刺激に対する脳波の非線形性の解析 1は、(すでに得ている成果である)暗算の他に、記憶の想起(歴史的な出来事や食事内容)、視覚イメージの想起(漢字書き順)によるα波の変化に注目して実験を執り行った。2では、まず1のデータから複素復調法を用いてα波の振幅の実効値を求めた。この実効値は実験中、記憶の想起などの意識集中によって低下するが、安静時にも同様の振幅低下はしばしば観測されるので、確率論を応用して両者を分離する方法を提案して有効性を検証した。3は、健常者のα波のモデル化のための知見を得ることを狙ったものであり、周期閃光刺激の周波数を5〜20Hzの範囲で与えたときに、現れる脳波の時間空間特性を調べた。以上の研究の結果を以下に示す。 1 記憶の想起実験のすべてにおいて、被験者の6割以上(17名中10名)から意識集中と判断できるα波の振幅低下が観測された。特に、歴史的な出来事など比較的単純な内容を想起する課題では、暗算と同程度の7割以上の被験者から振幅低下がみられた。 2 提案手法により振幅低下の原因の分離がほぼ可能となり、有効性が確認された。自発的な振幅変化が非常に大きい被験者も存在したが、低振幅状態の持続時間を加味することにより、分離を行うことができた。 3 刺激周波数がα波帯域(8〜13Hz)にあるときに脳波の応答が最も強く、時間空間的にも安定したリズムが発現した。α波の引込みがこの刺激応答に強く関与している可能性を示した。
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Research Products
(2 results)