2004 Fiscal Year Annual Research Report
分岐を伴う管状対象物の3次元重ね合わせに関する研究
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16560370
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
花泉 弘 法政大学, 情報科学部, 教授 (60143385)
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Keywords | ホモトピー / 分岐 / 肺野内血管 / ヘリカルCT / CT値 / 芯線 / 重要度 / 断面素 |
Research Abstract |
分岐を、連続する断面素においてホモとピー的な連続性が断たれることとする基本原理に基づいて理論的な考察を進めた。その結果、分岐部での動作を確実にするには、現断面素を構成する各ボクセルについてその26近傍を調べて接続しているボクセルを抽出し、さらにそれらのボクセルが互いに接続しているかどうかを認識することが必要であることがわかった。このときすべてのボクセルが接続していればホモトピー的に連続となり分岐とは認識されない。一方、抽出されたボクセルが接続性の観点から複数の島に分かれるときに分岐が検出されたと認識することができる。このアルゴリズムに基づいて管状対象物の分岐を含めた形状を認識するプログラムのプロトタイプを作成した。各断面素を構成するボクセルの重心を繋げて芯線とした。いくつかのヘリカルCTデータに適用して動作を確認した。この場合、認識動作を開始する初期断面素はデータ上で心臓とおぼしきところに手動で与えたが、実用化するには初期断面素の自動認識が不可欠であると考える。CTデータ上では血液のCT値も心臓や太い血管のCT値もほとんど同じであるため、心臓から肺に向かう血管がCT値の低い肺野内に貫入してはじめて血管として認識できる。この貫入口をうまく認識できれば自動化が達成できるが具体的なアルゴリズムは次年度に検討することとした。同時に、肺野内血管の末端部に腫瘍がある場合などに肺野内にあるべき血管がCT値の高い肺野外の組織へ見かけ上連結してしまうことになるので、認識処理の安定な動作のためには前処理として肺野領域を精度よく抜き出しておくことも必要であることがわかった。 肺野内の血管の分岐の認識についての問題点としては、CTデータの空間分解能にもよるが、心臓のように認識すべき管状対象物の内壁が拍動によって滑らかに見えないない場合や90°よりも小さな角度で折れ曲がっている場合などに、実際には分岐がないのに分岐と判定してしまういわゆる偽枝の発生することがわかった。これらは以後の処理の大きな影響を与えるため、不要な偽枝を切り取る必要がある。このために各分枝がその先にどれだけのボクセルが接続しているかを重要度として指標化し、これに閾値を設けることによって偽枝が除去できることを確認した。 多時期のデータから抽出した芯線の対応付けのアルゴリズムについても検討および基礎実験を行い、分岐点ごとに対応をとっていけば3次元での重ね合わせが実現できる見通しを得た。分岐点の対応をとるには各分岐点での分岐数、各分枝の持つ重要度、各分枝を構成するボクセルの重心の座標などが指標として有効であることがわかった。
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