2005 Fiscal Year Annual Research Report
分岐を伴う管状対象物の3次元重ね合わせに関する研究
Project/Area Number |
16560370
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Research Institution | Faculty of Computer and Information Sciences, Hosei University |
Principal Investigator |
花泉 弘 法政大学, 情報科学部, 教授 (60143385)
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Keywords | 逐次的領域成長法 / ホモトピー / 重要度 / Principal Branch Model / 適応的三角錐分割 / ヘリカルCTデータ / マルチスライスCTデータ / 肺動脈と肺静脈の分離 |
Research Abstract |
昨年度プロトタイプを作成した血管追跡プログラムの処理効率を上げるため、血管断面素の認識開始面を自動的に設定するアルゴリズムを作成し実装した。肺野内に貫入する肺動脈と肺静脈とはCTデータ上では区別できないが、認識を進めてそれぞれが分岐する時点で認識開始面を設定することで、心臓や太い血管内の複雑な形状に基づく偽枝の影響を受けにくくなり、以後の多時刻血管データの対応付け処理にとっても都合がよい。なお、静脈には動脈よりも腫瘤の付着が多いとされているが、このアルゴリズムを発展させることにより、容易に血管を動脈と静脈とに分離する手法も確立した。これと同時に、肺野周辺部に腫瘤が存在する場合、血管と肺野外の筋肉や肋骨などが見かけ上接触しているような状態になり処理が暴走する場合があったので、各スライス画像ごとに筋肉や肋骨を除去し、肺野のみを精度よく抽出するように改良し実装した。 認識した芯線を用いて、多時刻のCTデータ間で芯線の対応付けのアルゴリズムを構築した。当初はPrincipal Branch Modelを考案し、これに基づいて対応付けを行った。これは、血管の分岐構造を2分木であると仮定し、分岐点ごとに重要度(そこから先にどれだけの血管がつながっているかの指標)の大小関係から対応付けを行うものであった。小規模の血管枝を切り出して性能評価を行ったところ、ある程度の対応はとれるものの、心臓に接続する太い血管などで対応がうまくとれない場合のあることがわかった。原因を解析したところ、太い血管の分岐部分では3分木構造を持つことがあり、そこに2分木構造を仮定すると、どの2分枝が選ばれるか不確定さが残り、そのことによって対応がとれていないことがわかった。この不確定さを除くために、2分木構造を仮定せずに分枝の方向を考慮した対応付けが可能となるような改良を加えた。 一方、目標としているスクリーニングシステムでは、腫瘤候補を3次元形状の時間的な変化としてとらえるので、芯線だけでなく血管形状そのものを重ね合わせる必要がある。このために、まず断面素が重なるように一方を平行移動して重ねることとした。実装したところ、あまり良い精度が得られなかったため、対応がとれた分岐点を頂点とするような三角錐に3次元空間を分割し、対応する三角錐ごとにアフィン変換を行って連続的な変形によって重ね合わせる手法を開発した。この分割法は適応的デローネイ三角形分割の3次元版ともいうべきもので、3次元空間上に対応点が与えられるたびに三角錐分割を変更していく。芯線の対応付けにおいて十分な精度を得られなかったので、数値実験によって(マルチスライスCTデータを人工的にゆがめて多時期のデータとした)性能評価を行ったところ、精度良く重ね合わせることができた。 以上、全体を通した評価はまだであるが、各サブシステムを構築できたことから所期の目的は達成できたと考える。
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Research Products
(2 results)