2005 Fiscal Year Annual Research Report
低水結合材比の高強度コンクリートの高品質化を指向した新しい養生方法に関する研究
Project/Area Number |
16560400
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Research Institution | TOKAI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
笠井 哲郎 東海大学, 工学部, 教授 (20266373)
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Keywords | セメントの水和生成物 / 低水セメント比 / 水和反応 / 水和収縮 / 自己乾燥 / 自己収縮 / コンクリートの養生 / 養生水の浸透 |
Research Abstract |
本研究では、同一供試体内においてセメントの水和の程度および体積変化が不均一となる現象に関し、それを低減する方法として、加圧水中養生および表面エネルギーの低い水を用いる養生によりコンクリート供試体内部への水の浸透を促進させ、上記の不均一性を低減し、高強度コンクリートの高品質化を指向した新しい養生方法の有効性を示した。更に、新しい養生によるセメント硬化体組織の微視的観察を行った。 セメントペーストの水セメント比(W/C)と浸透距離が標準養生における養生水の浸透に及ぼす影響について検討し、W/Cが小さいほどまた浸透距離が長いほど養生水の浸透が少なくなることを確認し、これをDSにより定量的に示した。また、水和収縮率の測定から求めたセメントの水和度は、W/C=40,60%の場合、材齢91日まで大きくなり90〜95%程度まで達するのに対し、W/C=20,30%の場合、材齢28日で60%程度となりそれ以後材齢が経過してもほとんど変化がないことを明らかにした。これらのことから、W/Cが小さい場合、標準養生条件では養生水の浸透が妨げられ、セメント硬化体内部が自己乾燥状態となりセメントの水和が停止することが実験的に確認された。一方、本研究で提案したAE剤養生および加圧水養生の方法を用いた場合、浸透距離によるDSの変化が小さく、標準養生の場合に比べ養生水の浸透が促進されていることが確認された。これにより、供試体内部のセメントの水和度も大きくなった。また、これらの効果はW/Cが小さい場合ほどより顕著に現れていることから、標準養生条件下で生じる低水セメント比の高強度セメント硬化体供試体の自己乾燥や水和度の不均一性を低減する養生方法として、ここで提案した方法が有効であることが明らかとなった。更に、水の浸透距離の異なるコア供試体の強度試験により、標準養生では、表層部のコア供試体の圧縮強度に対し浸透距離120mmの内部コア供試体のそれは2割程度低下するが、AE剤養生および加圧水養生では、浸透距離の影響がほとんど現れず、表層部と内部コア供試体の圧縮強度はほぼ同一となり、強度の面でもその不均一性を低減する養生方法として有効であることが明らかとなった。また、これらをSEM観察したところ、セメント硬化体内がより緻密になっていることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)