2004 Fiscal Year Annual Research Report
簡易的AEカウント装置の実用化と地盤モニタリングへの応用に関する研究
Project/Area Number |
16560436
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田野 久貴 日本大学, 工学部, 教授 (00059700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 英彦 日本大学, 工学部, 助教授 (40175112)
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Keywords | AE / アコースティック エミッション / 地滑り / トンネル / 岩盤崩落 / 野外計測 |
Research Abstract |
本研究は、従来室内試験を中心に研究が行われてきたAE(アコースティック エミッション)を、その発生数をカウントのみで評価することにより、現場で長期間乾電池で駆動することを可能にした構築中のシステムをさらに一歩押し進め、実用化を目指す目的で現場に適用した結果を報告するものである。本システムはAEセンサー、アンプおよびパルスジェネレーター、バッテリーおよびロガーより構成される。ロガーは市販のも市販のものを利用している。大部分が自主開発であるため、既存の同等システムの10分の1程度の価格でシステムが構築され、より多くの現場設置が可能となった。設置した実績は次のようである。 岩手県中・古生層急崖(1カ所1台),秋田県地滑り地(2カ所計7台)、山形県地滑り集水井戸内(1カ所1台)、福島県新第三紀層急崖(3か所3台)、同県地滑り内の損傷トンネル内(4カ所4台)とその上方岩盤(2箇所2台)、岐阜県亜炭廃坑内(4箇所4台)および鉱山水平試験坑(3箇所5台)と、計20箇所27台にのぼる。アクティブ・ダミー方式を用いているので1台は2チャンネルで構成されている。海外ではエジプト・ルクソール王家の谷の古代ファラオ地下王墓内(5箇所5台)、トルコ・カッパドキア古代地下都市(2箇所3台)、同国ババダー町地滑り地(3箇所3台)、同国温泉・地熱地帯のゲルメンジックおよびテクハマム(各1箇所各1台)であり、国内外ともに現在も計測を継続中である。そのほか、短期的な計測としては、掘削中のトンネル切羽直近でその安定性をAEにて検証するための基礎実験として、3回の測定を実施し貴重な結果が得られている。その成果は2005年5月にトルコで予定されているトンネルに関する国際会議で発表するため投稿・印刷中である。 上記の国内外の測定において、地滑りの動きに伴うと考えられるAEの発生やこれらと降雨との相関に関する多くのデータが得られつつある。また、歴史的岩盤構造物の長期安定性に関わる評価の一つとしてAEがそのパラメータとして有効である可能性も見受けられる。今後これらの成果を逐次報告する予定である。なお、2004年12月に発生したスマトラ地震に関連してトルコにおいて得られたAE(地殻浅所の応力を間接的にAEで評価)のデータ解析の結果からは、その数時間前から前兆現象と考えられる異常値の発生が認めら、これについても現在検討中である。
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Research Products
(5 results)