Research Abstract |
不飽和地盤内の地下水の浸透挙動を把握することは土壌・地下水汚染など,地盤環境問題に関する浸透流解析における重要な課題となっている。解析的には,飽和・不飽和浸透流解析がコンピューターの発達とともに比較的容易に実施されるようになっている。しかしながら,浸透解析モデルのパラメーターのひとつである不飽和透水係数を求める試験は,試験装置が非常に複雑になり,時間がかかることから,ほとんど普及していない状況である。一方,土の保水性試験から得られる水分特性曲線と,飽和土の透水係数とを組合わせて,不飽和透水係数を推定する方法をvan Genuchtenらが示し,解析において多用されているが,基本的には,水分特性曲線は排水過程のみが対象となっており,吸水過程あるいは両過程の途中段階における挙動は模式的には表現されても,実験的な裏づけを有するものは皆無と言える状況である。この状態が詳細に把握できていない段階での解析では,飽和・不飽和浸透流解析の限界を示していると考えている。 土の保水性試験があまり実施されない理由も,試験に長時間を要することもその一つと考えられる。排水過程と吸水過程を把握し,その途中段階における挙動を把握する必要があることを考えると,たとえ透水性の高い砂質土であっても,従来法の「段階載荷」による保水性試験を適用すると,少なくとも2〜3週間を要することになる。そこでこの研究では,サクションの「連続載荷」による新しい保水性試験法を提案し,新試験法を開発した。この試験法によると,豊浦砂では排水過程と吸水過程の水分特性曲線が約7時間で得られ,従来法の段階載荷による試験結果ともよく対応していることが認められ,この手法の有用性が確認されている。また,連続載荷法を適用して,排水過程と吸水過程を2度繰返した後,その途中段階で湿潤・乾燥過程を2回,乾燥・湿潤過程を1回加えた試験においても,約30時間で試験結果が得られることを示した。また,連続載荷時におけるより簡便な試験手法に関しても提案している。
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