2006 Fiscal Year Annual Research Report
氾濫原内対策を組み込んだ洪水対策システムの最適性能設計モデル
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16560446
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀 智晴 京都大学, 地球環境学堂, 助教授 (20190225)
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Keywords | 洪水 / 避難 / 氾濫 / 治水計画 / 最適化 / シミュレーション / 避難成功率 / 災害対応 |
Research Abstract |
本研究は、洪水氾濫が生じた際の住民の避難行動をできる限り円滑に行えるようにするための氾濫原内対策の最適設計手法を確立しようとするものであり、得られた成果は以下の三つにまとめることができる。 (1)カタストロフィックな外力による壊滅的な被害、特に、人的被害を軽減する方法として避難行動に着目し、避難行動を支援するための避難所の個数や配置、避難経路の耐水化施策の選択を、一定の費用制約の元で、人的損失を最小限にするという目的をもつ確率的最適化問題として定式化した。 (2)氾濫動態-避難可能性の応答を表現するモデルとして、筆者らがすでに開発している水害避難ミクロモデルについて、最適設計問題に適用可能となるレベルまで計算時間の短縮化を実現した。 (3)(1)で定式化した避難システムの最適設計問題の解法アルゴリズムを構築した。特に、本問題は目的及び制約条件を構成する関数群が、氾濫シミュレーション、避難行動シミュレーションを含む大規模なものとなるため、解の探索効率を重視し、ワークステーションレベルで求解可能な探索方法を開発した。 中でも(2)については、計算時間の短縮化を図るコーディングを行ったほか、従来、コンピュータ上での再現に多大な労力を要していた街路網のモデリングに市販の数値地図データを利用することで、詳細な地物・街路網を氾濫水の動態と重ね合わせて表現するデジタル避難場モデルを開発した。また、(3)については、解の探索に遺伝的アルゴリズムを適用するとともに、氾濫シミュレーションを簡易化した近似解探索と、実際に決定変数の内容(土地のかさ上げなどの施策の組み合わせ)に応じた氾濫解析を行う厳密探索の2種類の探索を組み合わせた二段階探索法を提案した。これにより、従来は求解が困難であった氾濫原施策の最適化問題を現実的な計算量で解くことが可能になった。
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Research Products
(1 results)