2005 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物最終処分場の安定化指標としての温度に関する数値埋立処分工学的研究
Project/Area Number |
16560477
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 英樹 室蘭工業大学, 工学部, 講師 (70210713)
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Keywords | 廃棄物最終処分場 / 内部温度 / 安定化 / 廃止 / 浸出水 / 好気性微生物反応 / 嫌気性微生物反応 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では、まず廃止を計画している廃棄物最終処分場においてガス抜き管を用いて、内部温度の実測を行い、廃止基準としての内部温度の基準達成状況を調査した。また、併せて浸出水水質と埋立ガスについても基準達成状況を調査した。その結果、ガス抜き管内の深さ方向の最高温度を、2000から3000m^2ごとに調査した結果、当該処分場は埋立開始後約24年経過時でも50%以上に区画で廃止基準(年平均気温+20℃)を満たしていなかった。一方、浸出水及びガス抜き管内保有水の水質については、全体としてはほぼ基準を満たすレベルまで低下していた。このことから、廃止基準の達成までに要する時間については内部温度に依存している状況で、内部温度の全体の傾向から、少なくとも10年以上を要するものと予測された。 さらに、このような現場データのみによる評価を補足するため、処分場内部温度の数値シミュレーションを行った。計算においては、埋立過程において、廃棄物セルが空気に暴露されて、表面で好気性微生物反応が起こり、それに引き続いて嫌気性微生物反応が起こる場合と、空気への暴露がなく嫌気性微生物反応のみが起こっていることをモデル化した。その結果、初期に好気性微生物反応が起こったと仮定した場合は、内部温度と内部の有機物量に相関があり、内部温度の低下が安定化の進行を示す可能性があることがわかった。一方、嫌気性微生物反応のみが起こった場合では、内部温度上昇は小さく、内部温度と内部の有機物量との相関は顕著でなかった。したがって、埋立中に好気性微生物反応を経ているかどうかで、内部温度と安定化の関係が大きく変化することがわかった。 嫌気性微生物反応のみによる内部の有機物分解は非常にゆっくりと進行するため、安定化の促進のために内部に空気を導入することが望ましく、その場合には内部温度によって安定化を評価することができると期待できる。
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Research Products
(1 results)