Research Abstract |
横補強筋の代わりに補強繊維を用いて鉄筋コンクリート部材を模擬し,試験体製作に伴う経費および労力を節減し,超縮小模型の製作を可能にして,従来実現不可能であった多層多スパン構造や入力地震動をパラメータとした振動実験を可能にする簡易振動実験手法開発を目的として,今年度は,柱,梁などの単一部材を実際に組み立ててフレーム構造の震動実験を行い,その実現性を検証した.製作方法は実際の構造物と同じ一体打ちとした.ただし,試験体が非常に小さいため施工実験を行い,組立,コンクリート打設の工程を綿密に検討した.対象とする構造物は,実大の震動実験が既に行われている3層1スパンの一体打ちのフレーム構造とし,これを,縮小率1/5,1/8,1/15と変化させ3体製作した.試験体,特に1/15の試験体は非常に小さいものであったが,そのような縮小模型でも施工方法を工夫すれば従来の一体打ちで製作可能であることがわかった.そして振動実験を行って,実大の実験結果との比較を行った.実験の結果,縮小模型は実大より大きな応答を示すことがわかった.そこで,地震応答解析を行い,その結果と比較した.その結果,地震応答解析でも縮小模型の実験結果を再現できなかった.しかしながら,地震応答解析では重量を床レベルに集中させるという解析仮定を用いているが,実際には実大建物では60%程度しか重量は床レベルに集中しておらず,逆に縮小模型では,付加重量の関係から90%の重量が床レベルに集中している.従って,本来的には縮小模型が地震応答解析と整合すべきであり,逆に言うと一般によく行われる地震応答解析の重量が床レベルに集中するという解析仮定に問題がある可能性もあり,重大な問題提起になる可能性が示されたと言える.
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