2004 Fiscal Year Annual Research Report
鉄骨建物の腐食実態調査と腐食部材・接合部の耐力と塑性変形能力に関する実験研究
Project/Area Number |
16560499
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松尾 彰 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90034412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 樹一郎 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90284166)
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Keywords | 腐食実態調査 / メインテナンス / 腐食速度 / 残存耐力 / 塑性変形能力 / 平均腐食度 |
Research Abstract |
本年度は瀬戸内海沿岸地域における鉄骨建物の腐食実態調査と、解体建物より採取した腐食部材を用いた梁の曲げ実験を行った。 腐食実態調査は瀬戸内地域に存在する112棟の鉄骨工場、倉庫について、経過年数やメインテナンスの有無にともなう各構造部位の腐食の進行度を調べた。調査によって知られたことを以下に示す。1.鋼構造建物は経過年数に比例して腐食が進行して行く傾向があるが、その腐食速度は環境や管理状況によって左右される。2.構造部位では柱下部(特に露出柱脚部)の腐食が激しい。3.室内柱と外部柱とでは,外部柱の腐食が激しい。4.海からの距離が300m以内にある建物では,室内柱・外部柱ともに腐食が特に激しい。5.内陸部,近海部ともに再塗装による防錆効果が認められる。室内柱であれば,内陸部では塗装後10年程度でも目だった腐食が確認されなかった。しかし近海部では塗装後7年程度で部位によっては腐食の進行が確認された。6.室内部材では柱下部を中心にメインテナンス(再塗装)することで、安価で長寿命化を実現することが可能である。7.極近海部にある開放的な建物では耐火被覆を施した鉄骨部材にも腐食が進行し、見逃される可能性がある。以上の結果をまとめて日本建築学会技術報告集に投稿する予定である。 腐食はりの耐力、塑性変形能力に関する実験研究では、腐食により鋼材減厚の発生したH-346x175x6x9部材による曲げ試験を行った。採取できた部材数が少なかったことと、腐食板厚の計測にかなりの時間を要したことより、本年度実験を行った試験体数は予定よりかなり少なく3体である。実験によって知られたことを以下に示す。1.腐食の進行による鋼材厚の減少にともなって、梁の曲げ耐力および塑性変形能力は減少していく傾向にある。ただし、その定量的な変化については今後更に実験および解析を通じて明らかにする必要がある。来年度も残りのはり実験を継続する予定である。
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Research Products
(4 results)