2006 Fiscal Year Annual Research Report
鉄骨建物の腐食実態調査と腐食部材・接合部の耐力と塑性変形能力に関する実験研究
Project/Area Number |
16560499
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松尾 彰 広島大学, 大学院工学研究科, 教授 (90034412)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 樹一郎 広島大学, 大学院工学研究科, 助手 (90284166)
|
Keywords | 残存耐力 / 塑性変形能力 / エネルギー吸収能力 / はり / 高力ボルト接合部 |
Research Abstract |
本年度は瀬戸内海沿岸に建つ鉄骨建物の腐食実態調査結果の後半を日本建築学会技術報告集に投稿し第24号に掲載された。また、腐食したH形鋼はりの追加実験と山形鋼高カボルト摩擦接合部の引張試験の追加実験を行った。以下にその結果の概要を記述する。 腐食はりH-346×175×6×9部材の耐力、塑性変形能力に関する実験研究では、昨年度までに単調載荷と繰り返し載荷で合計8体の実験(Bシリーズ)を行った。それらの腐食は比較的軽く、フランジ板厚は8〜9mm(平均幅厚比10程度)であったが、今年度は3〜6mm(平均幅厚比18〜20程度)とかなり腐食の進んだもの(Aシリーズ)を単調載荷実験した。それにより以下のことが知られた。1)Bシリーズでははり固定端部の平均板厚を用いて、塑性曲げ耐力および降伏曲げ耐力を評価することができた。板厚の薄いAシリーズでは降伏後の局部座屈により塑性耐力には達しなかったが、降伏耐力は固定端部の平均板厚を用いて評価することが可能であった。2)平均幅厚比が20前後とかなり大きな値となっていたAシリーズであるが、最大耐力後の負勾配も緩やかで、その塑性変形能力(0.8*Pmax時)に急激な低下は見られなかった。これはフランジには腐食部分と腐食していない部分が混在し、腐食していない部分が局部座屈に抵抗しているからであろうと考えられる。今後更に数値解析を行いその理由を継続して研究していくつもりである。 次に、山形鋼高カボルト摩擦接合部でボルト本数を2本と1本に減らしたものの引張試験を行った。これまでの試験体はボルト本数が3本で、すべて第一ボルトを貫通する軸部破断であった。一方、腐食は第3ボルト外端部に集中する傾向があり、これまでは接合部耐力に腐食の影響が見られなかった。従って、ボルト本数を減らすことにより破壊形式の変化を期待したものである。その結果を要約すると以下のようであった。1)ボルト本数が減少することにより外抜け破断や端抜け破断などが散見されるようになった。2)極限解析敵評価法によれば最大耐力評価結果は実験より若干低めの値であったが、破壊の形式を予測することはおおむね可能であった。3)今回の腐食接合部では腐食の影響により最大で10%程度耐力が減少していた可能性がある。今後さらに腐食減厚を考慮した有限要素解析を継続して行う予定である。 現在、これまでの研究成果のとりまとめを行い、研究成果報告書を作成しているところである。
|
Research Products
(4 results)