2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16560511
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
見村 博明 東京電機大学, 理工学部, 教授 (00057233)
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Keywords | 鋼構造 / 耐久性 / 応力腐食割れ / き裂進展 / 腐食促進試験 |
Research Abstract |
本研究は無塗装で使用されるステンレス鋼および溶接用耐候性鋼を使用した構造物の耐久性を評価する目的で,それぞれの母材および溶接部における腐食促進試験を行い,これらの材料の腐食による劣化挙動を明らかにし,当該鋼構造物の耐久性評価を確立することを目的とし, (1)応力腐食割れによるき裂進展速度と下限応力拡大係数 (2)腐食が鋼材の強度に与える影響 を実験的に調査を行なった。 前者の研究ではオースチナイト系ステンレス鋼SUS304鋼と溶接構造用耐候性鋼SMA490Bを用い,また,後者の研究ではSMA490B鋼と建築溶接構造用鋼材SN490Bを用い,両試験とも人工環境促進装置による腐食劣化試験を行い鋼種による劣化挙動の比較を行った。 応力腐食割れ試験ではASTMで規定する修正WOL試験片とし,板厚25mmから作成した。また,腐食後の強度評価にはJIS5号試験片を用いた。腐食試験環境はJISH88502に準拠し,その条件は,塩分を含む降雨の噴霧(5%NaCl,2時間)→乾燥(温度60℃±1,湿度20%〜30%,4時間)→湿潤とする腐食サイクル試験とした。 本研究で得られた主な知見は以下の通りである。 1)SUS304鋼では650サイクルまでき裂の発生は無かったが,明瞭なリューダース帯が生じ,時間と共に進展した。一方,S搬490B鋼では腐食き裂の発生は認められなかった。これは錆層の生成がき裂の発生,成長を阻止するものと推測される。 2)腐食が鋼材の降伏・引張り強度に与える影響は腐食による鋼材表面の凹凸の状態,即ち,凹凸による応力集中に起因する。耐候性鋼材SMA490Bは建築構造用鋼材SN490Bよりも腐食による凹凸の状態は緩やかであった。
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Research Products
(2 results)