2004 Fiscal Year Annual Research Report
木材から発生するセスキテルペンとオゾンの反応による空気汚染問題に関する研究
Project/Area Number |
16560525
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岩下 剛 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (90253905)
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Keywords | テルペン / セスキテルペン / オゾン酸化 / 木材 |
Research Abstract |
スモールチャンバーに、杉、パイン、ヒノキの木材を設置し、これらの木材から放たれるテルペン類VOCの同定を行った。チャンバーは無換気状態にし、ヘッドスペース分析を行った。その結果、杉材からはセスキテルペンの発生が多く、パイン、ヒノキからはモノテルペンの発生が多かった。杉板から放たれるセスキテルペンのうち、大部分を占めていたものは、Cadinene <delta->及びMuurolene <alpha->であった。パイン、ヒノキの場合は、発生するテルペン類VOCの多くをPinene<alpha->が占めていた。 次に、実大居室サイズの実験室に杉、パイン、ヒノキを暴露し、テルペン類VOC濃度が定常状態になった後、オゾンを強制的に付加する実験を行った。実験住宅の各室は15m^3/hの換気量の機械換気がされており、室温は25℃になるようにエアコンで調節を行った。木材のローディングファクターは約0.25m^2/m^3とした。オゾン発生器は最初Lowモードで稼動し、次にHighモードで稼動した。Lowモード状態では6〜11ppbの、Highモードでは30〜50ppbの室内オゾン濃度になった。杉材を用いた実験では、オゾン濃度を上昇させるにつれ、セスキテルペン濃度は減少したが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの濃度変化はみられなかった。パインの場合も、オゾンの付加により、テルペン類VOCの濃度が見られたが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの濃度上昇はみられなかった。ヒノキの場合は、ホルムアルデヒド濃度が若干上昇する傾向が見られた。オゾンの発生による、テルペン類VOCの減少度合いは、各テルペン類VOCによって異なるため、その化学構造からオゾンとの反応のしやすさを検討するために、消失速度という指標を提案し検討した。
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Research Products
(2 results)