2005 Fiscal Year Annual Research Report
近畿地方の神社に現存する演能場・能舞台の建築構成に関する研究
Project/Area Number |
16560546
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
大岸 文夫 日本工業大学, 工学部, 講師 (60049715)
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Keywords | 能舞台 / 神社 / 社殿 / 演能空間 / 境内 / 設計論 / 近畿地方 / 兵庫県 |
Research Abstract |
1)平成16年度の兵庫県の神社に現存する能舞台調査・研究のまとめとして、兵庫県内に現存する51棟の能舞台と各神社における社殿構成に関する考察、評価を行い、日本建築学会計画系論文集(第598号)、および2005年度日本建築学会大会学術梗概集への投稿・発表を行った。本論において明らかにした内容は、当該神社の社殿構成において、能舞台は南向きの本殿が構成される下部・奉務と参拝のための区域とする平坦地に正対する事例が多く、正参道から社殿に至る構成に特徴が認められ、7類型とした。本舞台平面寸法の設計論では、京間三間、同二間半、同二間、中京間二間半、関東間三間、同二間半、他に八尺間二間など間口と奥行がほぼ同寸とする正方形の分布があり、間口が関東間三間〜二間半、京間二間半〜二間、八尺間二間などに変化し、奥行がほぼ十三尺:京間二間とする扁平形の2系統の分布が見られる。この設計値は、神社の格式・規模・組織、そしてニワの広さなどから観世家が江戸幕府に提出した『書上』の3種の「場」による3通りの広さによる基準が適用されたものと考えられ、舞台奥行を詰めた扁平形は前項で指摘したニワの奥行きが狭い場合の策と思われる。 2)平成17年度における主な活動は、能楽発祥地とする京都府・山城地域を対象とした、猿楽・能楽が行われたとする神社に着目し、各社の演能を示す資料収集・発掘を行ない、現地調査を主体とした演能空間と能舞台構成に関する資料の収集と現地調査を行った。特に、京都府北部地域の神社に現存する能舞台2棟(福知山市一宮神社、旧園部市生身神社)を確認し、詳細な現地調査を基に平成18年度日本建築学会大会学術梗概集へ発表の予定である。
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Research Products
(3 results)