2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16560553
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
天野 克也 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (60159457)
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Keywords | 低層住宅地 / コミュニティ / プライバシー / 安全性 / 開放性 / 生活感 / 街路表層領域 / 隣地境界領域 |
Research Abstract |
1.対象地区:前年度と同様に東京都世田谷区の低層住宅地30地区を対象地区とした。 2.住宅地の物的空間要素の把握:前年度調査項目(街路長、住戸数、隣棟間隔、街路閉鎖度等)に加え、地形図と現地調査をもとに、隣地閉鎖度、街路から望見できる居間の窓数、ガレージ設置等を把握した。 3.低層住宅地街路空間の心理的評価構造:街路空間に対する来街者の心理評価をSD法よる実験によって求めた。実験は、大人の立場から大学生42名と子どもの立場から中学生33名を被験者とし、街路空間のスライド映像を提示し、開放感、安心感、プライバシー感等に関する形容詞対に対する7段階尺度による評価を得た。また、居住者の心理評価は、昨年度実施のアンケート調査結果を用いた。その結果、各主体の心理評価構造として次の特徴を明らかにした。居住者は、開放感、安心感、親近感、大学生は、安心感、視線感、親近感、中学生は、親近感、開放感、安心感のそれぞれ3因子が抽出された。しかし、中学生では、3因子相互の相関が強く、実質的には親近感の1軸構造であることを示した。 4.心理的評価からみた住宅地物的空間の計画条件:物的空間構成要素と開放性評価因子(開放感、安心感、生活感、視線感、親近感)との関係を回帰分析により解析した結果、これらの評価が負評価とならい物的空間条件は次のようにまとめることができる。街路幅員を5m程度、住宅の道路境界からのセットバックを3m程度、1.5m以上の高い塀(街路長に対し35%未満)を少なくする、住居一体型の車庫を少なくする。 5.住宅地物的空間特性と犯罪発生実態との関係:対象地区選定時に警視庁資料に基づき把握した犯罪発生実態と物的空間構成要素との関係を要因分析を行った。その結果、閉鎖的な住宅地ほど犯罪が多く発生している傾向があることを明らかにした。中でも、閉鎖度が低く、街路から望見できる居間の窓が多い住宅地では犯罪発生が少ないことを示した。
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Research Products
(3 results)