2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16560553
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
天野 克也 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (60159457)
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Keywords | 低層住宅地 / コミュニティ / プライバシー / 安全性 / 開放性 / 生活感 / 街路表層領域 / 隣地境界領域 |
Research Abstract |
1.対象地区:前年度と同様に東京都世田谷区の低層住宅地30地区を対象地区とした。 2.町に開かれた住まいの工夫(住宅地形成ルール)に対する意識調査:これまでの研究成果として、道路に対して閉鎖度が高い地区は隣地境界、駐車場形態等地区の全体が閉鎖的になる傾向があること、居住者は住まいを閉鎖的にすることによってプライバシーを守り、防犯に対して安全であると評価していること、しかし、閉鎖的な地区は犯罪発生が多い傾向があることを明らかした。この結果と防犯環境設計の4原則(監視性の確保・接近性の排除・領域性の明示・対象の強化)を踏まえ、さらに住宅地形成という観点から5つの住まいの工夫を設定した。即ち、(1)住まいと街路間の見通しを確保すること、(2)居間・食事室などの団欒の部屋と街路間で双方の気配を感じられるようにすること、(3)隣地間の見通しを確保すること、(4)住まいの駐車場を街路に対して閉鎖的にしないこと、(5)前庭の意匠を工夫して自分の敷地であることを明確にすること、である。アンケート調査によって、この工夫をわかりやすくするためにイラストを添えて居住者に提示し、その重要性と実行性を把握した。さらに、街路に対する閉鎖度の選好性を求めた(平成18年11月実施、配布数995票、有効回収数347票、同回収率35%)。 3.結論:(1)提示した5つの工夫に対して、60%以上が「重要である・取り入れたい」という評価を得た。中でも抵抗感が予想された街路に面する塀を低くすることについては80%程度が「重要である・取り入れたい」とした。「取り入れたくない」理由は、工夫1〜3でプライバシーを守りたいに特化している。(2)街路に対する閉鎖度は30%のものが最も多く指示され、0%と合わせると60%を超える割合になる。これは囲障のある住まいの居住者も同様の選好性を示した。また、このことは、既に示した「閉鎖度を30%程度に抑えることでプライバシーを確保し、かつ開放性も保てる」という結果と符号するものと考えられる。これより、住まいのプライバシーおよび街路への開放性をそれぞれある程度確保し、しかも居住者に受け入れられる閉鎖度は30%程度であるといえる。(3)「美しい町にすることが犯罪抑制につながる」という意見がみられ、防犯環境設計の4つの原則に加え、美しい町にすること、またその状態を維持することが重要である。
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Research Products
(4 results)