2004 Fiscal Year Annual Research Report
南西フランス中世計画都市の成立過程に関する基盤的研究
Project/Area Number |
16560563
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 毅 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20168355)
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Keywords | バスティード / 南西フランス / 英仏戦争 / 中世都市 / グリッド |
Research Abstract |
本研究は13世紀中葉から14世紀中葉にかけて、フランス南西部に計画的に建設された都市「バスティード(bastide)」を現地調査し、その成立過程を都市建築史的立場から明らかにすることを目的とする。バスティードは英仏戦争においてフランスとイギリスの領地争いのフロンティアで建設されたグリッド都市で、その存在は都市史上きわめて重要である。研究は2カ年度で実施する予定で、本年度はその初年度にあたるため、以下のような基礎的作業を行った。 (1)国内における文献資料の蒐集:日本で入手可能なバスティード関連文献を可能なかぎり蒐集した。絶版になっているものについては複写し、基礎的な文献研究を行った。 (2)現地調査:2004年9月15日〜27日の約2週間、現地調査を実施し、以下のような成果を得た。 ・Ste.-Foy-La Grande, Sauveterre-de-Guyenne, Monsegur, Libourne, Cadillac, Montreal-du-Gers, Labastide-d' Amagnac, Foureces, Monflanquin, Monpazier, Velleneuve-sur-Lot, Domme, Villereal, Villefranche-de-Rouerogu, Najac, Cordes, Sauveterre-de-Rouerugue, 以上17都市を踏査し、現地の写真撮影、地図・地籍図、文献資料などを収集し、来年度の調査対象候補を検討した。 ・バスティード研究所において研究状況の把握と調査協力依頼を行い、来年度の調査の具体的計画を策定した。併せて研究所発行の年報、出版物の入手を行った。 ・現地調査中に主要な建築類型の抽出、分析を行い、中世に遡る住宅を数例発見することができた。 (3)調査結果分析:現地調査で得られた資料をもとに、バスティードの類型化を行い、基本的な都市類型の抽出が可能となった。また住宅類型についてもその類型の概要をつかむことができた。 来年度はこの結果を踏まえて、現地詳細実測調査を実施する予定である。
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