2005 Fiscal Year Annual Research Report
南西フランス中世計画都市の成立過程に関する基盤的研究
Project/Area Number |
16560563
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 毅 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20168355)
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Keywords | バスティード / フランス中世都市 / ソーヴテール・ド・ルエルグ / モンフランカン / モンパジエ |
Research Abstract |
本年度は昨年度の予備調査の成果をもとに、南西フランス・バスティード都市のうち、代表的な都市を選び、現地調査を行った。調査対象都市はソーヴテール・ド・ルエルグ、モンフランカン、モンパジエの3都市で、バスティード研究所および各市担当者の協力を得て、資料収集、都市調査、家屋調査(合計10棟)、写真撮影、インタビュー調査を実施した。 ソーヴテールはもっともバスティードの原形的な都市で、中央広場を囲むように8つの矩形ブロックが取り囲む。住宅のタイプは木造ハーフティンバー、石造の2タイプがあり、敷地内の空間増殖過程が明らかになった。モンフランカンは、丘上の規則的なグリッド都市で、イングランド主導型バスティードである。もっとも高い位置に教会が立ち、かつては墓地を備えていた。広場に面する建築は有力商人、参事官などの枢要な建築が建ち並んでいたが、現在は細分化され、複雑な空間構成を呈している。モンフランカンの住宅は地形の起伏をうまく利用した、垂直方向の空間利用が顕著で、ブロック内部の土地利用もソーヴテールに比較すると格段の都市化を現出している。最後のモンパジエはバスティードの典型例としてよく取り上げられる都市である。比較的平坦な土地に整然としたグリッドが敷かれた計画都市で、グリッドの割り出しにパルと呼ばれる基準点があったことが知られる。整形街区に建つ住宅は、高度な空間利用が進み、隣接家屋との空間のやりとりが複数例発見され、モンフランカンの都市化がさらに進展した例とみることができる。 2カ年の成果を取りまとめ、『バスティード-都市と建築』(伊藤毅編、山川出版社)として、現在刊行準備中である。
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