2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16560564
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 博之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00011221)
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Keywords | 近代和風 / 郊外住宅 / 近代建築史 |
Research Abstract |
研究計画に従って近代和風建築の基礎的文献の収集を行ない、これまでの蓄積を拡大した。 ついで具体的な近代和風建築を対象とする研究計画を発足することとなった。 まずはじめに、当初から計画していた東京都北区中里にある坪井邸の実測調査を行ない。その資料を整理した。これは近く公開される予定である。この調査によって、近代の郊外住宅の好例を調査することができた。ここには近代の和風と洋風の混合する様子が窺われた。残念ながらこの住宅は調査の後、取り壊された。 また、東京都文京区茗荷谷にある大谷邸の調査及び評価の作業を行なった。これは大正元年に竣功した和風大邸宅であり、現在その存続が危ぶまれている文化遺産である。ここでは極めて質の高い近代和風住宅の好例を分析対象とすることができた。この建物については、今後さらに実際的な調査・保存計画を実施してゆく予定である。 また、東京都港区鳥居坂にある国際文化会館の調査を行なう過程において、この建物の建つ場所に存在していた旧岩崎小弥太邸の遺構の一部を調査することが可能となった。ここでは近代建築がそれ以前の土地・建物のあり方を前提として設計されていることを知ることとなった。これは保存計画とともに調査が推進される。 さらには熱海市にある旧日向別邸(ブルーノ・タウト設計)をめぐる研究会を行ない、この建物の将来計画と熱海市の近代和風建築の総合的計画を立てる組織を、熱海市とともに立ち上げる段階を迎えることができつつある。この委員会活動によって、研究は更なる広がりをもつことになろう。
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