東アジアにおける歴史的都市集落空間の保存手法に関する比較研究

2004 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 16560565
• Research Institution: Ritsumeikan University
• Principal Investigator: 益田 兼房 立命館大学, COE推進機構, 教授 (50313317)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 上野 邦一 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (70000495) ; 李 明善 東京芸術大学, 大学院・美術研究科, 日本学術振興会外国人特別研究員
• Keywords: 東アジア / 歴史的都市集落 / 空間 / 保存手法

Research Abstract

平成16年度に於いては、下記の調査研究を行った。
1.既存研究報告の蒐集と整理:日本国内の、刊行済みの伝統的建造物群保存地区保存対策調査報告書や、重要伝統的建造物群保存地区の所在する市町村が刊行する資料を分析し、保存の対象と範囲、保存対象の歴史的形成過程、周辺を含む現代の都市計画等の状況や保存に影響を与えそうな要素について、検討した。
2.現地調査:国内では、今井町と京都市内の歴史的な町並み、海外では、台湾の台北市内と周辺部の歴史的な町並み、及びフィリピンの世界遺産都市ヴィガンについて、現地調査を行った。
3.調査研究内容の検討:今年度は全員が一堂に会することができなかったが、それぞれの現地での検討と意見交換を行った。また簡易報告書の作成には至らなかった。
以上のような今年度の調査研究の範囲では、次のことが判明した。これら東アジア地域では共通して、建築や都市のあり方について近代化への指向が強く、伝統的な価値体系が概して考慮されていない傾向がある。しかしなかでも、経済成長の著しい日本で、伝統的なものとの乖離が大きく、具体的には都市計画の用途地域や道路計画等によって歴史的都市空間の制度的破壊を促進していることが、伝統的建造物群保存地区やその周辺で確認されたことが、大きい。