2005 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける歴史的天市集落空間の保存手法に関する比較研究
Project/Area Number |
16560565
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
益田 兼房 立命館大学, COE推進機構, 教授 (50313317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 邦一 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (70000495)
板谷 直子 立命館大学, COE推進機構, 研究員 (90399064)
李 明善 東京大学, 大学院・人文社会学系研究科, 外国人研究員
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Keywords | 東アジア建築史 / 世界遺産 / 保存手法 / 景観形成 / 都市防災管理 |
Research Abstract |
平成17年度は、下記の調査研究を行った。 1.我が国でも歴史的な価値が高いとされ、伝統的建造物群保存対策調査が行われている広島県福山市鞆地区について、現地調査にもとづき、その価値評価について海外専門家等と意見交換を行った。鞆地区は、その中心となる歴史的港湾に横断道路橋建設が予定されており、世界遺産評価にあたる国際NGOイコモスでは、建設計画見直しの要望を数回出すなど、現在の我が国ではもっとも国際的に有名な歴史的環境の破壊問題の場となっている。このため、11月に韓国のイコモス専門家に現地調査を依頼して同行し、日本イコモス国内委員会で、都市の保存問題について、意見交換を行った。 2.重要伝統的建造物群保存地区である、沖縄県竹富町竹富島集落は、地区の外側周囲に一週道路を建設して自動車交通の地区内通過排除を目指しているが、この道路周辺での開発行為が多発し始めており、地区にふさわしくない建築物が隣接して建設される恐れもでている。急速なモータリゼーションが、伝統的な家屋配置の維持を困難にしつつあり、同様の事例が周辺の島々でもおきつつある。総じて伝統的な生活文化の消滅が、伝統的な集落景観の変化を起こしている。3月の現地調査では、このような現状の把握とともに、伝統文化を具体的に伝える生活用具の収集展示を行っている、竹富島蒐集館博物館の調査を行った。 3.これらの調査の結果は、伝統的な都市や集落の景観の悪化には、ともに自動車交通の問題が大きく関係していることを示している。また、伝統文化全体の変化の中で、洗練された伝統文化に代わる現代の文化が形成できていない状況は、集落や建築だけでなく衣食住に関わる道具全般の変化にも反映しており、同様の状況が韓国でもあることが判明した。
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