2005 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀イギリス風景庭園における自然的景観の形成と自然美の観念
Project/Area Number |
16560567
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
田路 貴浩 明治大学, 理工学部, 助教授 (50287885)
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Keywords | イギリス / 風景庭園 / 18世紀 / ランスロット・ブラウン / 自然美 / 景観 |
Research Abstract |
本年度は、ブラウンが造園した現存する庭園のうち、サイオン・ハウス、ギャリック・ヴィラについて現地調査を行ない、大英図書館(ロンドン)およびボードリアン図書館(オックスフォード)にて史料の収集を行った。また、入手した図版、文献等を整理し、内容の把握を行った。 本年度は風景絵画理論と造園理論の関係について調査を行った。とくにターナーに着目した。ターナーは第三代エグルモント伯爵の支援を受け、ペットワースの邸館に滞在し、創作活動を行ったことが知られている。ペットワースの庭園はブラウンによる広大な風景庭園であり、ターナーはその風景を水彩画で描いている。それらは、光や大気の状態など、自然現象を客観的に書き留めようとするものである。ターナーの絵画理論はレノルズなどのアカデミー理論を継承するものである。しかし、アカデミー理論では、画家は眼前の自然をそのままに描くのではなく、理想的自然を目指して、調整すべきであると考えられていた。したがって、ターナーの客観的な自然観察の姿勢は、それまでの絵画理論を越えるものであるといえる。ブラウンもより理想的な自然に向かって自然を改変すべであると考えていたようであり、アカデミーの絵画理論との親近性がうかがえる。今後は、これら18世紀イギリス絵画理論、ブラウンの造園理論、ターナーの絵画理論の関連について、さらに詳細な調査を進めたい。
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