2004 Fiscal Year Annual Research Report
大社造の起源と変容に関する歴史考古学的研究 -出土新資料の分析から-
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16560570
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
浅川 滋男 鳥取環境大学, 環境情報学部, 教授 (90183730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 和宏 独立行政法人奈良文化財研究所, 飛鳥資料館, 研究員 (10290933)
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Keywords | 大社造 / 掘立柱建物 / 9本柱 / 5本柱 / 弥生時代 / 古墳時代 / 山陰地方 / 高床建築 |
Research Abstract |
初年度の研究は、大社造社殿の起源をさぐるため、山陰地域の弥生〜古墳時代の掘立柱建物についてひろくデータを収集するとともに、2004年11月4日〜5日の2日間、「山陰地方の掘立柱建物」と題するシンポジウムを開催した。セッションA「総論:山陰地方の掘立柱建物」では、3人の考古学者が弥生〜古墳時代の掘立柱建物の類型・編年・地域性・集落との関係について講演した。続くセッションB「遺跡各論I」では伯耆地方、セッションC「遺跡各論II」では出雲・石見地方の主要遺構について、発掘担当者が報告した。工楽善通氏の特別講演「朝鮮半島の掘立柱建物」を介して、最後は参加者全員で山陰地域の掘立柱建物に関する総合討議をおこなった。今回のシンポジウムでは、大社造と平面構成が近似する9本柱建物や、その源流と目される5本柱建物に話題を収斂させるのではなく、弥生〜古墳時代にみられる掘立柱建物範囲で把握することに務めた。その結果、梁間1間の高床倉庫建物跡以外では、5本柱・9本柱建物跡、長棟建物跡、独立棟持柱建物跡、布掘建物跡、庇付き建物跡など多彩な類型の存在することがあきらかになった。また、5本柱・9本柱建物跡については伯耆地方に集中的な分布をみる一方で、最古の遺構は松江市田和山遺跡の山頂に所在することも確認された。ただし、弥生中期にさかのぼる田和山山頂の9本柱建物跡については、2間×1間の建物ではないか、という疑念も提出された。来年度は、初年度の研究成果をふまえ、古墳時代以前の5本柱・9本柱建物跡の特徴を整理した上で、飛鳥時代〜鎌倉時代の出土遺構を整理し、これに建築学・歴史学的解釈を加えて、大社造社殿の起源と変容に関する新しい解釈を示したい。これについては、第2回のシンポジウムを松江で開催する予定である。
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Research Products
(4 results)