2004 Fiscal Year Annual Research Report
南洋における日本人町の都市構造の研究:フィリピン・ミンダナオ島ダバオ
Project/Area Number |
16560572
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Research Institution | Okinawa University |
Principal Investigator |
小野 啓子 沖縄大学, 法経学部, 助教授 (50369211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 徹哉 琉球大学, 工学部, 助教授 (60222783)
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Keywords | 南洋 / 都市構造 / 日本人町 / フィリピン / ミンダナオ島 / ダバオ / 沖縄移民 / 南進 |
Research Abstract |
本研究は、明治期から第二次世界大戦前、麻開拓の成功により太平洋地域でハワイに次ぐ在外日本人居住地となったフィリピン・ミンダナオ島ダバオにおける「日本人町」の空間的及び社会的都市構造を復元・分析し、「南洋」における日本人セトルメント形成の系譜の中に位置づけることを目的としている。1940年代初め、ダバオの日本人人口は2万人に達し、うち半数を沖縄出身者が占めていた。人口の増加に伴い、日本人会を中心とする共同作業によって道路、灌漑設備、住宅、学校、墓地などすべての必要施設が自力で建設され、ダバオの中心市街地では映画館、デパートから豆腐屋、ソバ屋、遊郭まで揃う「日本人町」が栄えた。しかし、第二次世界大戦時に日本軍がフィリピンを占領、日本の敗戦とともに、日本人移民はほぼ全員強制退去となった。 平成16年度は、主として米国における資料収集を行った。まず、米国公文書館(メリーランド州カレッジパーク)にて米軍が第二次世界大戦時に撮影した航空写真やダバオ関連の米軍情報報告書などの基礎資料を入手した。また、ハワイ大学ハミルトン図書館、ビショップ博物館文書館において、南洋関係の文献資料や写真資料を閲覧・収集した。これらの資料をもとに、オリジナル地図の作製作業を行っている。また、ダバオに関する文献調査とともに、ほぼ同時期に日本人が産業開発を進めた台湾と南大東島の製糖タウンについても地図の作製、聞き取り調査を進めており、明治期の北オーストラリアに始まり、ダバオ、台湾、沖縄、ミクロネシアなどを大きく変容させながら第二次世界大戦の終了とともに終わった日本人移民による太平洋島嶼地域のセトルメント形成の過程を明らかにしていきたい。
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