2004 Fiscal Year Annual Research Report
ローレンツ電子顕微鏡法によるナノ磁性粒子内部の磁区構造決定
Project/Area Number |
16560576
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
竹田 真帆人 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (30188198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 孝雄 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40018007)
廣井 善二 東京大学, 物性研究所, 教授 (30192719)
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Keywords | Cu-Co合金 / ローレンツ顕微鏡法 / ナノ磁性粒子 / 磁区構造 |
Research Abstract |
Cu-Co合金に関する昨年までの研究において、析出を用いることによりナノCo磁性粒子の形成状態を広範囲に変えることができ、それを用いて磁性微粒子の組織形態と磁性の関連を詳細に調べられる可能性があることを明らかにした。また2次元イジング模型と2つの相互作用をモンテカルロ法計算に適用することによってCo微粒子の特異な組織形態の定性的説明が可能であることも指摘した。今年度の研究では、以下の点について検討を行なった。 (1)ナノ磁性微粒子のローレンツ顕微鏡法観察 ナノ粒子の双対化現象が反平行スピン対によるCo磁性粒子の非接触配列であることが濃厚であることが一連の研究で明らかにされたが、直接的な実験検証としてローレンツ顕微鏡法による観察が考えられる。本年度この手法をCu-Co合金、Cu-Fe合金等に適用することを研究の課題としてを立案した。本科学研究費により電子線照射角偏向装置の導入が可能になった。微粒子系のローレンツ顕微鏡法では、バルク試料とは異なって磁化が小さいため電子線の偏向量も極めて小さい。このような小さな磁化の変化を捉えるためには磁化の方向を電子線に合わせることが重要であるために種々の原料を用いて単結晶作製を試みた。単結晶は東大物性研において試作を行なった。これらの合金は包晶系状態図を持つために条件設定に時間を要したが、ほぼ目標に近い結晶を得るに至っている。小角電子回折パターン等を観察した。 (2)SQUIDによる磁化測定 磁性についてはSQUID装置を用いた磁化測定をCu-Co合金、Cu-Fe合金及びCu-Fe/Co合金についてM-T測定とM-H測定を行なった。TEM観察でも見られるようにCu-CoとCu-Feで組織変化には共通点と相違点がある。磁化組織の違いにおいても幾つかの特徴的違いがあったが、SQUID測定結果でも相違点が観察された。 (3)モンテカルロ法計算の拡張 2次元イジング模型を用いたモンテカルロ法計算により、組織発展の定性的解釈が可能であることを明かにしたが、さらにモンテカルロ法計算を3次元化し、現実に近いシミュレーションを行なうことを検討した。現在、視覚化を含めた基本的骨格を構築した。 なお、現在、本研究結果の一部について特許申請の可能性を検討中である。
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