2005 Fiscal Year Annual Research Report
Ti-Ni-Cu系形状記憶合金におけるマルテンサイト変態とその組成依存性
Project/Area Number |
16560584
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Research Institution | Foundation for Advancement of International Science |
Principal Investigator |
大塚 和弘 (財)国際科学振興財団, 研究開発部, 専任研究員 (50029881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大庭 卓也 島根大学, 総合理工学部, 教授 (00211110)
森戸 茂一 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (00301242)
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Keywords | 形状記憶合金 / マルテンサイト変態 / Ti-Ni-Cu合金 / 放射光 / 高減衰能材料 / 内耗 / 双晶 / 水素 |
Research Abstract |
極めて高い内耗を示すTi_<50>Ni_<50-x>Cu_x(10<x≦20)合金に対する昨年度の放射光(SPring-8)回折実験で、従来2段変態しないと思われていた15≦x≦20の組成でもB2-B19(orthorhombic ; o)-B19'(monoclinic ; m)の2段変態を起こすことを明らかにした。今年度もこの解析を更に進めた結果、12≦x≦20の組成で、2段目のB19-B19'変態は極めてわずかしか変態しないことが明らかになった。この結果はこの合金の内耗挙動を理解するうえで極めて重要である。更にB19とB19'マルテンサイト相の格子定数の組成依存性を調べた結果、a_m/a_0比(a_m : B19'相のa軸;a_0:B19相のa軸)がCu濃度と密接な関係のあることがわかった。つまり低Cu濃度ではこの比は小さく、高Cu濃度では大きくなる。つまりこの比が19相になり易いか、B19'相になりやすいかを決める重要な因子と考えられる。これらの成果は昨年上海でのマルテンサイト変態国際会議で発表した。更にこの合金独特の極めて高い内耗の原因を明らかにするため、DMA装置を用いて詳細な研究を行った。この結果以前我々が発表した極めて高い内耗の"broad peak"は緩和型ピークであることを明らかにし、その活性化エネルギーとして以下の値が得られた;E=0.67eV(x=20), E=0.77えV(x=16)。更に単結晶を用いた実験により、引張試験で試料中の双晶を除いてしまうと、"broad peak"も消えてしまうことを見出し、"broad peak"の生成に双晶界面の存在が不可欠であることを立証した。尚この内耗は、水素処理した時にのみ現れるという他の研究者の報告があるが、我々の場合には、水素処理をしない普通の熱処理で極めて高い内耗が現れるので、この報告に懐疑的であったが、我々の試料に脱水素処理をしてみると、確かに"broad peak"は消えるので、水素の影響もあるこを確認した。しかも脱水素処理をした試料では、もっと低温(178K)に新しい緩和型のピークの現れることも見出した。これらの結果は、高い内耗を得るには双晶界面と水素の存在が不可欠であることを示している。これらの成果は,この内耗の起源の議論も含め現在Acta Materialiaに投稿中である。
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Research Products
(2 results)