2004 Fiscal Year Annual Research Report
光ヒューズ用低軟化点ガラスの熱的安定性とその光遮断時間に関する研究
Project/Area Number |
16560596
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
轟 眞市 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, 主幹研究員 (40343876)
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Keywords | 光フアイバ / 低軟化点ガラス / 結晶化 / 光スイッチ / 熱的安定性 |
Research Abstract |
【概要】 純TeO2を介して融着した単一モード光ファイバを再加熱し、融着ガラス部の結晶化挙動と素子を透過する光強度の時間変化を観察した。結晶化に伴う損失低下が起こる時刻が、素子によりまちまちであることから、光ヒューズ動作の高速化に結晶化を利用するのは困難と考えられる。 【背景】 研究代表者は光ファイバ回線の途中に低軟化点ガラスを挿入し炭素含有塗料で被覆した構造が、過剰な光入力に反応して自律的に回線を切断する光ヒューズとして働くことを報告してきた。回線の切断に寄与しうる現象の一つに融着ガラスの結晶化による損失増大がある。融着ガラスとして用いている純TeO2ガラスは極めて結晶化し易いものであるので、この特性が反応時間に効いているのか否かは興味が持たれる点である。 【実験】 炭素含有塗料を被覆せずに作製した素子に超小型加熱炉を近付け、融着ガラスの結晶化挙動をビデオ観察する共に、素子を通過する光強度の時間変化を記録した。この測定を行なうために、作製装置の改造(素子付近の温度を測定するセンサの設置)を行なった。なお、素子内の融着ガラスの厚さは50μmに統一した。この値は低損失な光ヒューズを作製する時の代表的な厚さである。融着ガラスの変形を検知するために、加熱前に光ファイバホルダの位置を100μm程シフトさせて、僅かな応力が融着ガラス部分に加わるようにした。 【結果】 結晶化時刻は最短1秒から最長48秒までのものが観測され、その時の温度は200〜300℃であり、両者の間に明確な相関は見出せなかった。結晶化時刻が実験の度にまちまちな値を取る理由は、結晶化の起点となる結晶核生成が確率的現象に支配されるためと考えられる。よって、光ヒューズ動作の高速化を実現するのに、この現象を利用することは現実的でなく、別の現象、例えば融着ガラスの変形、あるいは炭素被覆層の燃焼による融着ガラスの除去、の高速化が必要であることが分かる。前者に関して言えば、粘性の温度依存性が大きい(いわゆる足の短い)ガラス組成が有効であると言える。
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Research Products
(1 results)