二重円筒型双結晶系試験片を用いた実験による高温破壊に及ぼす結晶粒界の影響の抽出

2004 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 16560607
• Research Institution: Tokyo Institute of Technology
• Principal Investigator: 尾中 晋 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (40194576)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 加藤 雅治 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (50161120) ; 藤居 俊之 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (40251665)
• Keywords: 高温変形 / 高温破壊 / 結晶粒界 / 塑性変形 / 結晶欠陥

Research Abstract

多結晶材料の高温変形時には,しばしば,クラックやボイドの発生による粒界破壊が起こる.高温強度を高めるための知見は,多結晶材料の粒界破壊に関する理解によって得られる.そこで,二重円筒型双結晶系試験片を用いた実験を行い,材料中に含まれる結晶粒界がそこでの破壊に及ぼす影響を考察した.つまり,二重円筒型双結晶系試験片について高温域での材料試験と微細組織観察を行い,高温変形と破壊の挙動,そしてそれらの温度と外部応力依存性を明らかにした.得られた実験結果について,転位論とマイクロメカニックスの観点からの考察を行った.この研究に関する該当年度の具体的な経過は以下の通りである.
現有のブリッジマン炉によって銅の二重円筒型双結晶を育成した.二重円筒型双結晶は内側の円筒型結晶粒とそれを取り囲む外側の結晶粒で構成されており,その育成には特別に設計した炭素坩塙を用いた.内側の結晶粒の直径が約20mm程度の二重円筒型双結晶を得ることができた.
二重円筒型双結晶試験片の高温変形と破壊
育成した二重円筒型双結晶から試験片を切り出し,種々の条件下での高温引張試験を行った.これらの材料試験から得られる結果と組織観察の結果を用いて,(1)双結晶の塑性変形と破壊に及ぼす結晶方位と粒界面方位の影響,(2)それらの変形条件(温度,応力及びひずみ速度)依存性,そして(3)塑性変形と破壊に及ぼす粒界面方位の影響とそれらの変形条件依存性,を系統的議論した.