2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16560612
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
春名 匠 関西大学, 工学部, 専任講師 (70243186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 慎司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70199371)
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Keywords | 環境脆化 / アルミニウム合金 / 塩化物水溶液 / 電位 / pH / 皮膜破壊 / 水素侵入 |
Research Abstract |
今年度は,塩化物濃度を0.1Mに固定しながらpHを1,3,7に変化させた水溶液(25℃)中におけるAl-Mg-Mn系(5083)合金の環境脆化挙動と水素侵入挙動を検討した.環境脆化試験には試料の電気化学的条件をコントロールできる低ひずみ速度環境脆化試験装置と昇温脱離ガス分析装置を用いた. 環境脆化試験からは,次の結果が得られた.(1)いずれのpHにおいても,皮膜破壊電位(約-740mV_<Ag/AgCl>)以上のアノード電位を試料に印加すると,破断ひずみは空気中での値と比較して減少した.この破断ひずみの減少傾向はpHが低いほど顕著であった.(2)いずれのpHにおいても,-1000mV_<Ag/AgCl>のカソード電位を試料に印加すると,破断ひずみは空気中での値とほぼ一致した.(3)電位を-1500mV_<Ag/AgCl>に保持した場合,pH1での破断ひずみは空気中での値とほぼ同値を示したが,pH3および7での破断ひずみは減少した. 昇温脱離水素ガス分析からは,次の結果が得られた.(4)いずれのpHにおいても,皮膜破壊電位よりも電位を上昇させても,水素の吸収は検出されなかった.(5)pH1の溶液中では電位を-1500mVAg/AgClまで低下させても,水素の吸収は検出されなかったが,pH3および7の場合には,皮膜破壊電位より電位を低下させるとわずかに水素の吸収が検出された.この水素吸収はpHの上昇とともに大きくなった. 昨年度のAl-Mg.Si系(6061)合金と比較すると,Al-Mg-Mn系合金は,カソード電位でも,皮膜破壊電位より高いアノード電位でも水素吸収が困難な材料であり,カソード電位域で水素の吸収の増加とともに破断ひずみが減少する傾向が見られた.両合金とも-1000mV_<Ag/AgCl>近傍の電位に保持される条件で使用されると環境強度劣化を防止できることが示唆された.
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Research Products
(4 results)