2005 Fiscal Year Annual Research Report
イオン照射による超磁歪材料薄膜の表面改質に関する研究
Project/Area Number |
16560616
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松村 義人 東海大学, 工学部, 助教授 (60239085)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 義武 東海大学, 工学部, 教授 (80119693)
|
Keywords | 超磁歪材料 / 薄膜 / プラズマプロセス / 内部応力 / イオン照射 / 照射損傷層 / 希土類 / 鉄合金 |
Research Abstract |
超磁歪材料薄膜は発生応力が大きく非接触駆動が可能なため、マイクロマシンのアクチュエータ・センサーや、遅延時間可変の磁気表面弾性波(MSAW)素子などへ応用が期待されている。我々はこれまでに様々なプラズマ中の薄膜プロセスを用いて超磁歪材料薄膜を作製してきた。プラズマプロセスでは、高エネルギー粒子が堆積中の薄膜に入射し、薄膜の特性に大きな影響を与える。そこで本研究計画では、超磁歪材料薄膜のイオン照射が磁歪特性へ及ぼす影響を明らかにすること目的として研究を行った。 マグネトロンスパッタ法により作製したTb_<36>Fe_<64>薄膜、Sm_<27>Fe_<73>薄膜に対し、異なるイオン電流密度でArイオンを照射することにより、その磁歪特性を検討した。Arイオン照射を超磁歪材料薄膜に行った結果、Arイオン照射は薄膜原子をはじき出すことによって、薄膜表面近傍に照射損傷層が形成されることがわかった。照射損傷層の形成によって内部応力の変化を引き起こすため、超磁歪材料薄膜の磁歪特性が変化することを見出した。 (1)緩照射に伴い正磁歪材料のTb_<36>Fe_<64>薄膜では、照射損傷による薄膜面内の圧縮残留応力の増大が面垂直磁気異方性を増加させ、面内方向の磁歪量が減少した。負磁歪材料のSm_<27>Fe_<73>薄膜では、圧縮残留応力の増大が面内磁気異方性を増加させ、低印加磁場での面内磁歪量が増加したと考えられる。 (2)急照射に伴い正磁歪材料のTb_<36>Fe_<64>薄膜では、薄膜試料のアニール効果が大きくなるため残留応力が緩和され、面垂直異方性が減少し低印加磁場での面内磁歪量が増加した。 以上により、希土類系超磁歪材料薄膜の磁歪特性はイオン照射が誘起する残留応力の変化に強く依存していることが明らかとなった。 以上の結果から、イオン照射プロセスは、超磁歪材料薄膜の磁歪特性を容易に制御できることを明らかにした。
|
Research Products
(6 results)