2004 Fiscal Year Annual Research Report
トランプエレメントの鉄基合金の包晶反応・変態への影響の直接観察
Project/Area Number |
16560646
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴田 浩幸 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (50250824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 研一 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (80361187)
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Keywords | 鉄-10%銅 / 包晶反応・変態 / トランプエレメント / レーザ顕微鏡 / 赤外線ゴールドイメージ炉 / 一方向凝固 |
Research Abstract |
資源循環型の社会を構築するためには鉄くずのリサイクルが重要であることは衆目の一致するところである。しかし、トランプエレメントの分離は容易ではなく現在はトランプエレメント含む溶鋼を希釈することによって無害化している。そこで、むしろトランプエレメントを合金元素として積極的に利用することができれば有用であると考えられる。そのための基礎的な情報は未だに十分とはいえない現状である。また、鉄-銅合金での組織制御をするためには、その生まれである凝固現象を理解することが重要である。そこで、鉄-10%銅合金の包晶反応および変態を直接観察し、トランプエレメントの相変態への影響を調べる。本年度はつぎのことを実施した。アーク溶解炉を用いて、過包晶組成の鉄-10%銅合金の作製を行なった。得られたボタン状の試料を、高温で観察に使用する横長のアルミナるつぼの形状に一致するように機械加工を施した。また、一方向凝固を実現するための赤外線ゴールドイメージ炉の調整を行い、るつぼの長手方向に温度勾配が生じるようにした。観察を成功させるために不可欠であるチャンバー内の雰囲気ガス中の酸素濃度についても、できるだけ試料が酸化しないように酸素ゲッター炉を整備した。これらの準備を踏まえて、Fe-10%Cuの観察を実施した。観察では、試料の昇温に伴い試料表面がわずかに酸化したが、1100℃付近で酸化物が溶解し試料表面を観察することができた。次に試料を部分的に溶解し、温度勾配下で一方向凝固させた。固相率が高くなったところで、固体/液体界面にガンマ相の生成が観察できた。その後ガンマ相は液体が凝固しつつ広がっていく様子がわかった。しかし、固体側へのガンマ相の成長は観察されなかった。このように本年度は高温での観察手法の整備に重点をおいて研究を実施した。
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