2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物超電導体の包晶凝固におけるファセット成長安定性と特性向上に関する研究
Project/Area Number |
16560647
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
中村 雄一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (20345953)
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Keywords | RE123 / 酸化物超電導体 / 包晶凝固 / ファセット / 連続成長 / 界面安定性 |
Research Abstract |
REBa_2Cu_3O_x(RE123;RE=Y, Sm, etc.)酸化物超電導体の包晶凝固における連続成長条件と界面安定性を調べるために、試料直径が0.5mmおよび2mmのSm123試料について方向凝固を行い、引き抜き速度を変えて連続成長組織が得られる条件について調査した。その結果、試料径が2mmの試料では連続成長が得られたのは10mm/hまでであったのに対し、0.5mmの試料では最大15mm/hまで連続成長組織が得られ、試料径が小さいほど高い速度まで連続成長が得られることがわかった。この結果を従来から行っていたY123の結果と比較すると、Y123では2mmの試料では2〜3mm/h、0.5mmの試料では10mm/hまで連続成長組織が得られており試料径の違いによる連続成長可能な速度の差が大きかったのに対し、Sm123系では試料径による差が小さいことが明らかになった。Sm123の方がY123に比べ大きな速度まで連続成長が得やすいことは、同一過冷度においてSm123系の方が大きな拡散の駆動力を有するためであると考えられ、これは一定過冷度においてRE123(RE=Y, Sm, Gd)結晶の成長速度を過冷度の関数として評価した実験結果からも支持された。しかしながら連続成長速度に対する試料径の差異による影響は、単純な溶質拡散だけからは説明できず界面安定性などを考慮する必要がある。また今年度方向凝固装置に新たに導入した温度勾配制御装置を用いて、方向凝固炉の温度更正を行った結果、1000℃において約36℃/mmの温度勾配が確保でき、所定の能力を有することを確認した。また単純なモデルにより、温度勾配下にあるファセット界面の定常成長条件を評価した結果、成長速度、成長方位およびステップ間隔との間に微妙なバランスが必要であることが示唆された。
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