2005 Fiscal Year Annual Research Report
微粒子添加による粘弾性流体のレオロジー制御と省エネルギー流体輸送技術への応用
Project/Area Number |
16560658
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
佐伯 隆 山口大学, 工学部, 助教授 (30253165)
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Keywords | 抗力減少効果 / 界面活性剤 / レオロジー / 伝熱減少 / 棒状ミセル / 省エネルギー / 流体輸送 |
Research Abstract |
流体にある種の界面活性剤を加えると、流れの抵抗が激減する(水のみを流した場合の20〜80%)現象は抗力減少効果として知られており、流体輸送の省エネルギー技術として注目されている。しかし、効果自体の発現理由については良く分かっていない。これに対し流体中で界面活性剤が形成する棒状ミセルが不均一に存在することに着目し、このことが流れの乱れを制御することにより抗力減少効果が発現すると考えて、研究を進めてきた。本研究では界面活性剤、対イオン、防錆剤の添加条件を様々に変え、その水溶液の抗力減少効果、レオロジー特性、伝熱特性、およびミセルサイズを実験的に評価した。このうち、レオロジー特性として、平衡流動特性や粘弾性特性の他、計測が難しいとされる伸長粘度について、試作装置を考案して測定を行った。研究の結果、以下のことが明らかとなった。界面活性剤ミセルは温度の上昇によって短くなり、それに伴って抗力減少効果は増加するが、ミセル形成が不安定になる温度を超えるとミセルが消失し、抗力減少効果も失われた。その他の添加条件からも、ミセルの消失時には抗力減少効果も失われる結果が得られたが、ミセルの長さと抗力減少効果の相関性は見られなかった。レオロジー特性と抗力減少効果の関係については、水溶液があるレベル以上の伸長粘度を示すことが抗力減少効果の発現に必要であることが指摘された。せん断粘度の増減は低いレイノルズ数域における抗力減少率の増減のみに影響し、現象の発現には寄与していないことが分かった。本研究で調製した様々な添加条件とその評価の知見から、添加剤の最適化がなされ、特に高温域まで安定した抗力減少効果を示すことのできる添加剤と新しい対イオンの提案、防錆剤に関する知見、および溶液中の不均一性の度合いを計測する手法などが提案できた。今後、水溶液の不均一性を評価したモデルを開発し、流れの数値計算を行うための有益なデータが取得された。
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Research Products
(2 results)