2006 Fiscal Year Annual Research Report
天然物の超臨界流体抽出における複合エントレーナ効果の解明
Project/Area Number |
16560660
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Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
岩井 芳夫 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (80176528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米澤 節子 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (50294898)
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Keywords | 超臨界流体抽出 / エントレーナ効果 / 超臨界二酸化炭素 / タキソール / 溶解度 / エタノール / 赤外分光スペクトル |
Research Abstract |
生理活性物質のモデル物質としてタキソールを選択した。タキソールは強い高腫瘍活性を持ち、卵巣がんや乳がんに対する抗がん剤として利用されている。しかし、タキソールの原料となるイチイの木は、成長に200年もかかり、樹皮に含まれる量も0.02wt%と非常に小さいため、高効率・商収率の分離方法が必要となっていたためである。タキソールの抽出を行うための基本となるデータの蓄積を目的として、赤外分光光度計を組み込んだ装置により、超臨界二酸化炭素に対するタキソールの溶解度の測定を行った。溶質であるタキソールは可視窓付きセルにあらかじめ仕込んだ後、超臨界二酸化炭素を導入し、タキソールを超臨界二酸化炭素に溶解させた。十分に時間が経った後、赤外分光光度計により3250cm^<-1>を中心に広がる幅広いピークのピーク高さに変化が見られなくなった点を平衡点と見なし、そのピーク高さから超臨界二酸化炭素に対するタキソールの溶解度を求めた。測定は温度323.2K、圧力15.0〜20.0 MPaで行った。測定結果より、溶媒である二酸化炭素の密度の上昇に伴い、タキソールの溶解度が増加することが示された。また、超臨界二酸化炭素に対するタキソールの溶解度の文献値は2セット報告されており、それらはオーダーが違うほど異なっているが、本研究で得られた溶解度から、本測定と圧力範囲が異なるものの、Catherineらが報告した値の方が妥当であることが示された。次に、エタノールを添加することによるエントレーナ効果を測定することを試みた。しかし、タキソールの3250cm^<-1>を中心に広がる幅広いピークと多量に存在するエタノールのピークが重なってしまい、この方法ではタキソールの溶解度を決定することは困難であることがわかった。
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