2004 Fiscal Year Annual Research Report
疎水性メソポーラス空間内への活性種の集積とその触媒作用
Project/Area Number |
16560675
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
馬場 俊秀 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (50165057)
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Keywords | メソポーラス物質 / 疎水性 / 有機ー無幾ハイブリッド / ブレンステッド酸 / ルイス酸 / スルホ基 |
Research Abstract |
有機ー無機ハイブリッドナノチューブの合成を行なう為に,テトラエトキシシラン(Si(OEt)_4)とp-ジブロモベンゼンから(EtO)_3Si-Ph-Si(OEt)_3を合成した。これを原料として,結晶化剤(C_<18>H_<37>N(CH_3)_3^+Cl^-)を用いて,アルカリ性条件下で脱水縮合反応を起こさせることによって,有機ー無機ハイブリッドナノチューブの合成をおこなった。その後,エタノールで結晶化剤を取り除いた。有機ー無機ハイブリッドナノチューブであることは,XRDおよびSEM観察を行なうことによって確認した。 表面に-SO_3H基を導入するために,合成した有機ー無機ハイブリッドナノチューブを発煙硫酸で処理した。この試料を水洗することによって触媒を得た。 固体酸触媒の性能を調べる為に,テスト反応として酢酸エチルとブチルアルコールとのエステル交換反応を取り上げた。反応は70℃で2時間行ない,生成する酢酸ブチルの収率によって触媒活性を評価した。有機ー無機ハイブリッドナノチューブの表面に-SO_3H基を導入した触媒では,酢酸ブチルの収率は6%であった。これに対してイオン交換樹脂であるAmberlyst-15とNafion-Hを用いると,酢酸ブチルの収率はそれぞれ18%と33%であった。 ところが,水が共存するシクロヘキセンと過酸化水素との反応では,有機ー無機ハイブリッドナノチューブ触媒は,その特性を発揮する。反応温度70℃,20時間反応を行うと,シクロヘキサンジオールの収率は53%であった。ここでAmberlyst-15ではその収率は61%,Nafion-Hでは45%であった。従って,本研究で開発した有機ー無機ハイブリッドナノチューブ触媒は,水の中で高い触媒能を発揮する触媒であると言える。また,その活性は均一系触媒であるH_2SO_4やH_3Pw_<12>O_<40>の活性よりも高いものであった。この結果は,有機ー無機ハイブリッドナノチューブ触媒は,水の中で使用できる固体酸としての機能を充分に備えている可能性が高いことを示すものである。
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Research Products
(2 results)