2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスエンベロープの標識による感染性動物ウイルスの網羅的検出のための基礎的検討
Project/Area Number |
16560680
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
後藤 猛 秋田大学, 工学資源学部, 講師 (10215494)
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Keywords | ウイルス / バキュロウイルス / 昆虫細胞 / ホスファチジルエタノールアミンN-メチルトランスフェラーゼ / 放射能標識 |
Research Abstract |
既存のウイルスの検出法は,生化学的・遺伝学的情報に乏しいウイルスや未知ウイルスには適用できない。本研究は動物ウイルスの多くが有している外部皮膜のエンベロープに着目し,その構成リン脂質を酵素的に放射能で標識することによって感染性の動物ウイルスを半網羅的に検出する新規方法を開発することを目的とした。 ウイルスのモデルとして昆虫細胞に特異的に感染するバキュロウイルスAcMNPVを用いた。ウイルスエンベロープの標識には,ホスファチジルエタノールアミンN-メチルトランスフェラーゼ(PEMT)を用い,ウイルス試料にPBS(pH7.4),[methyl-^3H]S-アデノシルメチオニン,PEMTを含む標識反応溶液を加えてインキュベートすることによりウイルスの放射能標識を行った。しかし,この反応溶液は多量の残存放射性基質と培地由来のリン脂質も含むため,標識ウイルスのみを検出するためにはウイルスとホスト細胞の特異的親和性を利用する必要がある。本研究では標識反応溶液に微量に含まれる界面活性剤と酵素に起因する細胞毒性の除去に吸着剤の利用を検討し,Bio-Beads^<【○!R】>と酵素精製に用いた樹脂が有効であることを明らかにした。さらに,これらの樹脂はウイルスを吸着しないことを明らかにした。 以上の結果を踏まえ,放射能標識溶液を加えてインキュベートしたウイルス試料に吸着剤を添加した後,Sf-9昆虫細胞と混合して細胞画分に移行した放射能を測定した。その結果,細胞画分にはコントロールに比べて非常に高い放射能が検出された。以上より,ウイルスのPEMTによる放射能標識が可能であり,ホスト細胞の特異的親和性を利用して標識ウイルスを検出できることが分かった。
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