2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規ダイナミックスポット法による癌組織からの分子標的蛋白の検出に関する基礎的研究
Project/Area Number |
16560683
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
岸本 通雅 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (00144436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 誠二 京都大学, 医学研究科, 講師 (00303834)
大政 健史 大阪大学, 工学研究科, 助教授 (00252586)
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Keywords | 二次元電気泳動 / プロテオーム解析 / 画像解析 / タンパク質スポット |
Research Abstract |
二次元電気泳動画像から分子標的蛋白の検出を効率的に行わせるため、本研究では銀染色反応の経時変化を解析し、正確にがんの組織部と非癌部の組織の違いを見いだせる画像解析プログラムを作成した。この画像解析プログラムは新規アルゴリズム(ダイナミックスポット法)に基づいており、これまでの画像解析と異なり、銀染色反応画像の経時変化を解析する特徴を有し、反応開始時間や、反応速度等も計算でき、タンパク質の定量化が期待できる。さらに量の少ないタンパク質を検出する場合は、バックグラウンドの消去が従来より改善できることから感度が高まることも期待される。 さらに泳動画像の経時変化を容易に取得できるよう、ホリババイオテックノロジー(株)と共同でSmart Imagerを試作し、一定時間おきに振とう操作を止めて画像を撮影できるシステムを開発した。 機械的に弱い二次元ゲルを取り出して撮影装置にかけるといった手作業が、この装置では必要なくなり、経時変化までとれるので現像反応前期からはスポットの重なりのない画像が得られ、反応後期の画像からは非常に低い濃度のタンパク質スポットも得られるなどの利点があった。しかしゲルの画像は振とうを一時的に止めながら撮影して得られるため、ゲルの変形もあり、各画像間で位置のずれは避けられなかった。そのため、画像解析プログラムでは標準蛋白を選び出して、画像位置の補正を行ったり、バックグラウンド補正を行うなどの処理を行わせる機能が必要であった。 作成した画像処理プログラムは上記機能を全て含んでおり、通常の画像処理では、見落としてしまう微小な癌組織固有のタンパク質スポットを見出すことに成功した。上記の結果の一部は2004年度のアメリカ電気泳動学会年会で発表した。 さらにホリババイオテクノロジー(株)と共同で開発したSmart Imagerは国立京都国際会議場で行われた第4回産学官連携推進会議に出品し、好評であった。2次元電気泳動はプロテオーム解析の機関技術であるにもかかわらず、画像解析システムは非常に高価で、学術研究発表に耐えられる装置は外国から輸入されている物に限られている現在、本研究で開発されたシステムの実用化は我が国のバイオ分野の研究に大きく貢献できると考えている。
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Research Products
(1 results)