2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子進化工学的手法による内分泌撹乱物質・ノニルフェノールの分解遺伝子系の構築
Project/Area Number |
16560684
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
武尾 正弘 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40236443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根来 誠司 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90156159)
北村 千寿 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60295748)
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Keywords | アルキルフェノール / ノニルフェノール / 生物分解 / DNAシャッフリング / 分解遺伝子 |
Research Abstract |
環境ホルモンとして知られるノニルフェノールの分解遺伝子系を構築するために、ブチルフェノール分解菌Pseduomonas putida MT-4株からクローン化したブチルフェノール分解遺伝子群(bup遺伝子群)を用い、DNAシャッフリング等の分子進化工学的手法を用いて、より長鎖のアルキル基を有するアルキルフェノールあるいはアルキルカテコールに作用する酵素の創成を試みた。また、ノニルフェノールの生分解機構を知るため、ノニルフェノール分解菌Sphingomonas sp.NP5株を用いて、ノニルフェノールの分解経路の解明を試みた。 前者の実験として、まず、MT-4株のアルキルフェノールハイドロキシラーゼ遺伝子(bupA1A1A3A4A5A6)をP.putida KT2440株へサブクローン化し、発現させてところ、この酵素は、側鎖の炭素数が7個までの4-n-アルキルフェノールを対応するアルキルカテコールに変換できる広い基質特性を有する酵素であることがわかった。一方、アルキルカテコール2,3-ジオキシゲナーゼ遺伝子(bupB)を大腸菌にサブクローン化し、大量発現させ、発現した酵素を精製してその基質特異性を調べたところ、本酵素は活性が弱いながら炭素数が9個までの側鎖を有する4-n-アルキルカテコールに対して、ベンゼン環開裂活性を有することがわかった。そこで、前者の実験の最初のステップとして、これらの酵素遺伝子にError-prone PCRを行ってランダム変異を導入し、変異株のライブラリーの構築を行った。現在、そのスクリーニングを開始したところである。 一方、後者の実験では、NP5株を用いてノニルフェノールの分解試験を行い、代謝物の分析を通じて、分解経路の解明を進めた。6種のアルキルフェノール及びアルキルカテコールを化学合成して純品を入手した後、これらを分解試験や代謝物の分析に使用した。最終的に、ノニルフェノールは、ベンゼン環に2つの水酸基を有する中間体を経由した後、側鎖がアルキルアルコールとして遊離し、さらにそのケトン体を経由して代謝されることが明らかとなった。
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