2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子進化工学的手法による内分泌撹乱物質・ノニルフェノールの分解遺伝子系の構築
Project/Area Number |
16560684
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
武尾 正弘 兵庫県立大学, 大学院工学研究科, 助教授 (40236443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根来 誠司 兵庫県立大学, 大学院工学研究科, 教授 (90156159)
北村 千寿 兵庫県立大学, 大学院工学研究科, 助手 (60295748)
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Keywords | ノニルフェノール / Sphingomonas / 生物分解 / 分解経路 / 環境ホルモン |
Research Abstract |
本研究では、環境ホルモン・ノニルフェノールに対する分解遺伝子系を構築するために、既にクローン化しているPseudomonas putida MT-4由来のアルキルフェノール分解遺伝子群を分子進化工学的手法によって改変し、種々のノニルフェノール異性体を分解できる遺伝子群を構築することを第一の目的とし、また、新規のノニルフェノール分解菌のノニルフェノール分解に関する基礎的な知見を得ることを第二の目的としている。本年度は主に後者の研究に重点を置き、Sphingomonas sp.NP5株のノニルフェノール分解経路の解明を進めた。本菌株は、ノニルフェノールの種々の異性体を効果的に分解でき、特に側鎖アルキル基のα炭素が複雑に分岐するものを好む。 まず、ノニルフェノールの異性体を2種類化学合成し、NP5株の細胞懸濁液を用いて分解試験を実施し、代謝物をHPLCで分取し、NMR, LC-MSなどで分析し、それらの構造を調べた。1つめの異性体4-(1-エチル-1-メチルヘキシル)フェノールの分解では、側鎖アルキル基が3級アルコール(炭素数9)として遊離するが、ベンゼン環を含む代謝物は全く検出されなかった。遊離したアルコールは分解されずに蓄積した。もう一方の異性体4-(1-エチルヘプチル)フェノールの分解では、アルキル鎖が2級アルコール(炭素数9)として遊離し、ケトン体へ酸化された後、さらに分解が進むことがわかった。一方、この分解では、ベンゼン環を含む代謝物が検出され、NMR及びMS分析の結果、その代謝物をノニルフェノールに水酸基が付加したノニルハイドロキノンと同定した。また、ノニルハイドロキノンは、さらに酸化されてノニルベンゾキノンになり、これも急速に分解されることがわかった。特に、後者の分解経路はこれまでに報告されたものとは異なり、新規な経路であった。
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Research Products
(1 results)