2004 Fiscal Year Annual Research Report
階層化意志決定法を適用した露天採掘跡地の廃棄物最終処分場への転用可能性評価
Project/Area Number |
16560709
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
大塚 尚寛 岩手大学, 工学部, 教授 (40133904)
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Keywords | 露天採掘跡地 / 廃棄物最終処分場 / 階層化意志決定法 / 転用可能性評価 / GIS / データベース / 地域住民 / 評価基準 |
Research Abstract |
露天採掘跡地を廃棄物最終処分場に利用しようとする試みは従来から行われてきたが、殆どが地域住民の強い反発に会い実施に移されていないのが現状である。それは科学的データに基づく技術的検討が不足していることもさることながら、社会的要請と地域住民の合意形成を定量的に評価する手法がなかったことにも由来する。本研究は、GISを利用したデータベースに基づき、階層化意志決定法を適用することによって、露天採掘跡地の廃棄物最終処分場への転用の可能性を定量的に評価するシステムを確立することを目的としたものである。 転用可能性評価は、STEP1:評価基準の抽出、STEP2:ウェイトの算出、STEP3:コンセプトマップの作成、STEP4:コンセンサスマップの作成の4つのSTEPで構成した。これらのSTEPを実行することで、転用可能性評価システムは、最終処分場の適地を抽出し、最終的な最適地の決定を支援することになる。本年度は、STEP2までの行程を行った。 STEP1では、最終処分場への転用可能性評価という最終目的に対する評価基準として、当研究室でこれまでに構築した砕石資源と環境に関するデータベースの中から、34個の項目を採用した。STEP2では、AHPを使用して転用可能性ポテンシャリティーを評価する際に、4層からなる階層構造を設定した。レベル1は転用可能性ポテンシャリティーを評価するという最終目的であり、レベル2ではつぎの3つのシナリオを仮定した。 シナリオ1:事業者が受入量や経済性を重視して行う評価 シナリオ2:地域住民が居住地への影響を重視して行う評価 シナリオ3:環境保護団体が自然環境への影響を重視して行う評価 これらのシナリオを仮定することで、最終的なポテンシャリティー評価では事業者、地域住民、環境保護団体の集団的な同意を得ることができると考える。 レベル3では一対比較の簡略化のために、各評価項目を、岩盤性状、地下水、地質、地形、水系、気象、自然環境、開発規制、地域社会、経済の10個の項目に区分した。レベル4には、各評価基準を置いた。レベル4について一対比較を行い、各評価基準のウェイトを算出した。その結果、砕石事業者は地下水や水系、経済といった条件を重視しており、特に水に関係する項目のウェイトが高く、環境に対して配慮していることが明らかとなった。また、一般市民は地下水や水系、自然環境といった条件を特に重視しており、一般市民は環境への影響に関心があることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)