2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸浸出-沈澱分離法による溶融飛灰からの有価金属の回収
Project/Area Number |
16560715
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
河原 正泰 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60145282)
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Keywords | 溶融飛灰 / 塩酸浸出 / 硫酸浸出 / 焼却灰 / 硫酸鉛 / 選択浸出 |
Research Abstract |
一般廃棄物の焼却灰を溶融してスラグ化させる際に発生する溶融飛灰からの有価金属の回収を目的として、今年度は溶融飛灰の塩酸浸出と硫酸浸出を行った。研究対象とした溶融飛灰は、飛灰捕集時にアルカリ成分を吹き込まずに捕集した飛灰、石灰乳を吹き込んで捕集した飛灰、炭酸ソーダを吹き込んで捕集した飛灰ならびに市中の一般的な溶融飛灰の4種類である。なお、研究対象とした金属元素は、溶融飛灰に比較的多く含まれる鉛と亜鉛としたが、銅や鉄などの共存する金属元素の挙動についても検討を加えた。得られた結果の概要は、次の通りである。 塩酸浸出では、溶融飛灰中の亜鉛、鉛、銅、鉄が非選択的に浸出された。このため塩酸浸出は、溶解した金属元素を分離するための後処理が複雑になるが、残渣に鉛が入らないため、溶融飛灰の無害化には有効な手段であると考えられる。硫酸浸出では鉛が硫酸鉛になるため、鉛は浸出されなかった。また、亜鉛と銅の選択浸出もある程度可能であった。なお、これらの金属元素を浸出するのに必要な酸濃度は、硫酸の方が塩酸よりも少なくて済むことが分かった。このため硫酸浸出は、有価金属の回収には好都合であるが、残渣に鉛が入るため、残渣処理をする必要がある。石灰乳を吹き込んで捕集した溶融飛灰では、どちらの酸を用いた場合でも、他の飛灰に比べ、金属元素の浸出率は低くなった。これは、酸が石灰の中和に使われたためであると考えられる。来年度は、これら金属元素が溶解した溶液からの金属元素の分離・回収について研究を行う予定である。
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