2005 Fiscal Year Annual Research Report
酸浸出-沈澱分離法による溶融飛灰からの有価金属の回収
Project/Area Number |
16560715
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
河原 正泰 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60145282)
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Keywords | 溶融飛灰 / 脱塩処理 / 硫酸浸出 / 選択浸出 / 沈殿分離 / 硫酸鉛 |
Research Abstract |
一般廃棄物の焼却灰を溶融してスラグ化させる際に発生する溶融飛灰からの有価金属の回収を目的として、溶融飛灰の酸浸出-沈殿分離法について検討を加えた。研究対象とした溶融飛灰は、市中の一般的な溶融飛灰である。なお、研究対象とした金属元素は、溶融飛灰に比較的多く含まれる鉛と亜鉛としたが、銅や鉄などの共存する金属元素の挙動についても検討を加えた。得られた結果の概要は、次の通りである。 (1)溶融飛灰をpH=9で水洗することにより、飛灰中の約90%の塩素を除去でき、同時にZn,Pb,Cuなどの金属を濃縮させることができた。 (2)溶融飛灰を水洗するときに発生する水洗廃液は、そのままでは排水基準を超過したが、硫酸鉄による凝集沈殿処理により、排水基準を満たすことができた。 (3)脱塩処理後に硫酸浸出することで、溶融飛灰中のPbの99%を残渣に残し、Pbと他の金属を分離させることができ、その後の回収工程で溶融飛灰に含まれるPbの93%を回収することができた。 (4)脱塩処理を導入することで、Zn回収物中の塩素品位を低減させることができ、このときのZnの回収率は97%であった。 (5)脱塩処理を導入することで、浸出残渣からのPbの溶出を低減させることができることが分かったが、これは、残渣中の可溶性の塩素を低減させたことによるものであると考えられる。 これらの結果から、酸浸出-沈殿分離法によって、溶融飛灰からの有価金属の回収が可能であることが判明した。
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