2004 Fiscal Year Annual Research Report
低放射化バナジウム合金のヘリウム保持・脱離特性に及ぼす不純物及び熱処理温度の影響
Project/Area Number |
16560719
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
廣畑 優子 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00189896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 有二 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80312388)
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Keywords | バナジウム合金 / ヘリウムイオン / 照射量 / 最終熱処理温度 / 不純物 / ヘリウム保持量 / ヘリウム熱脱離特性 |
Research Abstract |
核融合炉の第一壁及びブランケット構造材料の候補材料であるバナジウム合金(V-4Cr-4Ti)は、様々なエネルギーのヘリウム(He)によって照射され、注入される。Heは材料中に固溶せず容易に移動し、転位や不純物原子、予め材料中に存在する格子欠陥や高エネルギー粒子によってはじき出された損傷などと強く相互作用をする。本テーマはV合金に注入されたHeの熱脱離および保持特性が不純物によってどのように変化するかを調べることを目的としている。不純物は研磨や最終熱処理温度によって大きく変わることが指摘されている。本年度は、最初に冷間圧延したV-4Cr-4Ti合金に5keVのHeイオンを照射し、その熱脱離特性と保持量の照射量依存性を系統的に調べた。HeイオンのフラックスおよびHeイオンの注入深さ内のはじき出し損傷はDEMO炉とほぼ同じ条件である。照射後のV合金表面にはsub-μmの直径を有するブリスターが観察された。保持されたHeは550K、850Kおよび1100K以上で脱離した。表面観察の結果ブリスターは1100K以上で破裂してその後表面にはsub-μmの径のホールが形成された。照射量を増加させると最初に1100K以上で脱離するHeが飽和し、その後550Kで脱離するHe量が飽和した。この結果は3桁以上も低い照射量で行った他の研究者の結果と逆である。照射量が2×10^<21>He/m^2までは注入したHeがほぼ100%保持されたが、その後飽和した。その飽和量は2.7×10^<21>He/m^2であり、注入深さ内のHe/V比は1.4であった。また、 表面を機械・電解研磨し、1373KでアニールしたV合金は、冷間圧延した試料よりも低温で脱離するHeの温度が高温側に50K以上もシフトし保持量も少なかった。しかし、析出物の分布が大きく異なる試料に対しては熱処理後に研磨したために、最終熱処理温度とヘリウムの保持特性が明確にならなかった。その理由として、研磨中に不純物(C,O)が取り込まれたためである。
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Research Products
(2 results)