2005 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴ礁の微地形と魚類の種多様性を促進する微小生息場所の構造解析
Project/Area Number |
16570014
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Research Institution | SHIGA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
服部 昭尚 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (90273391)
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Keywords | サンゴ礁 / 微地形 / 場所利用 / 種多様性 / 景観 / パッチリーフ / 画像解析 / 空中写真 |
Research Abstract |
1)沖縄県石垣島白保のサンゴ礁礁池に約6haの調査地を設定し、拡大空中写真に画像処理を施した潜水調査用マップを作成して微小生息場所の機能解析のための潜水調査を実施した。2)底質景観の画像解析を行うことにより、微地形の形状や配列の特徴を明らかにして、野外調査のデータとの相関分析を行った。3)スズメダイ科魚類の種数や個体数、場所利用などの観察から、個体数や種の多様性が高まる微地形の特徴を明らかにした。 昨年度に潜水観察を行ったスズメダイ科のハマクマノミとカクレクマノミを対象に微地形の利用パターンを解析した。ハマクマノミはパッチリーフの縁を利用し、カクレクマノミは3つの底質景観(1.5m以浅の砂地と海草藻場、および潮間帯)の境界部分を利用していた。ハマクマノミの個体数と潜在的生息地の形状や配列の相関を分析した結果は、ハマクマノミの個体数はパッチリーフの数や総面積よりも総周辺長と最も高い相関を示した。パッチリーフの縁、すなわち垂直面は、窪みなどの隠れ場所が多く、外洋からの海水流が直接ぶつかる場所でもある。 本年度は潮間帯から水深1mまでの浅い場所に焦点を当て、スズメダイ科魚類すべてについて微地形と種の多様性の関係を調査し、行動観察から種数の高まる微地形の特徴を明らかにした。すなわち、礁池陸域側の潮間帯は平坦な岩盤となっているが、この場所では高低差10cm程度の窪地と転石が幼魚の重要な逃避所となっており、小さな凹凸の存在が多様性を高めることが明らかになった。また、水深1mまでの砂地では、空中写真で識別できる程度のパッチリーフがスズメダイ科魚類の種の多様性を高めていた。すなわち、パッチリーフの周辺には砂が堆積し、海藻や岩盤、砂地などの多様な生息地が創出されていた。昨年度の成果は、日本魚類学会(仙台)で発表、現在、Environ Biol Fishに投稿・審査中である。
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Research Products
(2 results)